書籍「せんせぇに愛たい」発売中です♪
ブログではもう読めない期間限定テキスト他、
オリジナル特別編も収録してます。
登場人物紹介
BGM(推奨)
。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜
「私ね…ずっと思ってたんだ…
いつもいつもせんせぇに迷惑かけてきたから…
いい加減ちゃんとしないとって…
そう思ってた…」
静香は…
俺の目をしっかりと見据えていて…
自分の意思を今から伝えんとする
その強い目の輝きの中に、
いつものあの内気な少女の姿は
どこにも見あたらない。
「せんせぇには…
家庭教師までお願いすることになって、
本当に悪いなって思ってた。
なかなか休みだってとれないのに、
私のために犠牲になってさ…
すごく…申し訳なくて…」
静香は…
一度俺から視線を外し、大きく深呼吸したあと、
ゴクリと唾を飲んだ。
その音が聞こえてくるもんだから…
多分、今から重要なことを言おうとしているんだなってことが
鈍感の俺様でもさえも分かりマス…。
すごい速さで彼女の顔が強張っていくのに
気付かないはずがなくて…
俺まで緊張してきたじゃねぇかよ(汗)
ヽ(;´Д`)ノ
うう…(汗)
「だからね…だから私…」
静香は…
最後の最後で少しだけ躊躇を見せたものの、
ついにというか、とうとう意を決して…
「わたし、わたしね…
予備校が同じ男の子と一緒に
勉強してました…
ごめんなさい…」
握っていた俺の手を離したかと思うと、
静香は両手を床につけたあと、
頭を深々と下げたんだけど…
つまりそれは…
いわゆる『土下座』の形になったわけで…
「ごめんなさい、ごめんなさい…
私が悪かったです。
勉強だったら別にいいかな、って思ってた私が
甘かったなって思ってます。
本当にごめんなさい…」
静香は…
頭を床にこすりつけそうな勢いで、
何度も何度も謝罪の言葉を口にしていた。
「バ、バカッ。なにやってんだよ。
そんなことすんなよ…」
無理やり静香の頭を上げさせようすると、
「じゃあ、許してくれる?」
心配そうな瞳を俺にぶつけてくる。
「それとこれは関係ないだろ?
とにかくそういうことはやめろって」
「じゃあやだっ!!
せんせぇが許してくれるまで
絶対に頭上げないから」
俺の手を振り切って、
今度は明らかに意図的に、
土下座の形を作る静香。
(_ _|||) ハァ…
なんだそれ…?
そんなん一種の脅迫じゃねぇかよ。
俺の横で
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
を繰り返す静香を見て、
ため息しか出なかった。
静香は…
自分の成績をなんとかしなくちゃって、
危機感を持って勉強に取り組み始めた。
これに関してはもちろん何の問題もない。
褒めることはあっても、
文句をつける筋合いじゃない。
男子と勉強していたことも、
そりゃ、本音のところを言えば、
あんまり気分がいいもんじゃないけど、
でも、そんなことでいちいち騒ぐ気なんて全然なくて…
ってか、いい歳した大人が、
年下の彼女の行動を束縛するなんて
恥ずかしくて出来るわけねーじゃん(汗)
本当にそんなことで
静香のことを怒るつもりなんてなかった。
ただ、なんていうか、
「はい、そうですか…」
で終わらせるほど俺って人間は出来てなくて…
少し苛立ちながら彼女の事情聴取を開始する。
「あのさ、今度は俺が質問してもいいか?」
「う、うん…」
土下座していた頭を上げて、
俺を見つめる彼女の瞳に、
不安そうな色が浮かんだのを、
俺は…見逃さなかった…。
「どういう知り合いなんだ、その子…」
「えっと…広野君って言うんだけど…」
オドオドしながら男の名前をあげる。
「高校のクラスメートの佳代ちゃんって子も
偶然予備校に通っててね…
それで、予備校帰りに一緒に勉強しているうちに、
佳代ちゃんがつれてきたのが…広野君…」
話が見えてきた。
静香には一緒に予備校に通う知り合いに、
智恵以外にも同じ高校の友達もいたわけで、
その友達と一緒に勉強しているときに、
男子を紹介されたってことか。
ハァ…
なんか高校生にありがちな『ご紹介』だな…
「そ、それでね…」
恐る恐る俺の顔色を見ながら
言葉を続ける静香。
「広野君、英語がすごく得意で、
その…予備校で一番上のクラスだから…」
「ああ、お前が苦手な英語を教えてくれるってか?」
「…うん」
ホントにありがちだ…
コイツは…
純粋にその広野ってヤツが、
英語が苦手な静香のためにボランティアで
教えてくれてるとでも思ってんか?
いくら静香が鈍感だといっても、
女子高生だぞ?
そこまでバカじゃないだろ?!
仮に・・・
仮に静香が気付かなかったしても、
ああやって智恵を仲介して
優香から伝わってくるぐらいなんだ。
静香の学校の友達だって、
その男の気持ちに気付かないわけないじゃないか。
普通だったら、
「広野君、静香に気があるみたいね~」
って笑いながら冷やかすもんだろ…
「なぁ、その広野ってヤツ、
お前のこと好きなのか…?」
ストレートに聞いた。
このときの俺には、
言葉をオブラートに包む余裕なんて全くなくてさ…
それでも、出来る限り感情を抑えたつもりだった。
「そ、それは…」
「お前、ずっと一緒に勉強してたんだろ?
それぐらい分かんないわけないよな?」
「せんせぇ、怒らない…?」
怒んない? じゃねぇだろうが…
なに言ってんだ、このバカ。
…と思いつつも、
そこはグッと感情を押さえ込んで、
冷静に話そうと必死に自分に言い聞かせるわけであり…
「…怒んないよ」
俺の返事を聞いて、
静香は、少しだけ安心したような表情を見せる。
ってかさ?!
俺に怒られるようなことってなんだよ?!
なんか…
すんごい不安になるんですけど…
眉をひそめる俺に向かって、
静香は、小声でボソボソっと話し始めた。
「あ、あのね…
広野君から…告白されたの…」
「………」
「あ、あの…」
「………」
「せ、せんせぇ、聞いてる?」
は?!
告…白…?!
自分に告白してきたヤツと一緒にお勉強?
これって…
ただ頭のいい男子と勉強してました、
っていうのと全然違うんじゃねぇかよ?!
相手が自分に気があることを
完全に分かっていて、
それでいて二人きりで勉強してたわけ?
皮膚の下の全身を通る血液が
沸々と煮えたぎっていく…。
ふざけんなよ…
「も、もちろん、私断ったよ?
ちゃんと彼氏がいるって…」
「…んだよ」
「え?」
聞き返してきた静香に、
今度はさっきより強い口調で、
ちゃんと聞けよとばかりに同じことを繰り返す。
「じゃあ何で一緒に勉強なんかしてんだよ。
告白してきたヤツなんだろ?!
相手がどういうつもりでお前と勉強してるのか
いくらなんでも分かるだろうが。
それって…
俺がどう思うかとか考えないのかよ?!」
「ご、ごめんなさい…
ホントにそれは悪かったと思ってる。
だから謝ってるでしょ?
怒らないって言ったくせに」
謝ってるでしょ…?
開き直りかよ、この野郎…
プチンと切れた自分が分かった。
「じゃあ、俺が誰かに告白されたとして、
そいつと一緒に勉強してもいいんだな?
勉強だったら全然OKってわけなんだよな」
いい加減よせばいいのに、
静香と同じレベルで言い返していた。
情けないのは分かってる。
いい歳した大人がなにやってんだって
自分でも分かってる。
やめろって、俺の馬鹿っ!!
理性が冷静になるように説得しようとしてるんだけど、
感情がそれをぶちのめし、
もはや自分で自分をコントロールすんの、
やばいかもしんない、そう感じたとき、
そのとき、耳に伝わってきた―――
え…?
最初、耳に入ってきたとき、
よく分からなかった。
いや、あまりにも心外すぎて、
脳が受け付けようとしなかったのかもしれない。
「せんせぇだってさ…
奥さんがいたのに、
私と勉強どころか
デートしてたじゃん。
私のこと言えるの?」
それを…
お前が言うか…?
言葉が出なかった…
俺の心の中で…
心のどこかで何かが壊れる音がしたのを
間違いなく耳にしていた…
次回も…
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次回もやっぱり「24時間期間限定記事」で~す。
さてさて気になる更新予定日は…
■無題
静香ちゃんにちょっと幻滅。先生も大人げないけど男はみんなあぁなると思うから、まぁしょうがない。
静香ちゃん謝ってる態度じゃないでしょ。