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憂楽帳:偽装

 「沖縄にはホスピタリティー(もてなしの心)があるんです」。沖縄サミット開催当時の県知事、稲嶺恵一さんの口癖はこうだった。

 「でも知事。変装して那覇空港からタクシーに乗って『(近距離の)県庁まで』と言ってみたらどうですか。運転手は途端に不機嫌になって、沖縄の玄関口のホスピタリティーがどの程度か分かりますよ」。嫌みな私などはこう揶揄(やゆ)していたが、知事は一貫して節を曲げなかった。

 だれにでも信念とプライドがある。企業にもあるはずだ。確かな技術や接客、長い伝統、顧客からの信頼に裏打ちされたプライドと理念が。

 だが最近、そうも思えなくなる“現象”が続いている。不二家や赤福などの事件は、プライドや理念以前のモラルの問題。効率を優先し、客を置き去りにしてしまった。

 そして吉兆の偽装表示問題が発覚した。全容は不明だが、市民からは「あの吉兆が……」「もうどこも信じられない」との声があがる。

 「今日は何を食べたらいいの?」。このまま事件が続いたら真剣に悩む日がやってくるかもしれない。【野沢俊司】

毎日新聞 2007年10月31日 西部夕刊

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