タクシー業者、「経営努力を」 運賃値上げ方法見直しへ2007年11月01日00時09分 タクシー運賃の値上げ方法見直しについて国土交通省は、年内に交通政策審議会に小委員会を立ち上げて議論を進め、08年中にも見直し案をまとめる方針を固めた。東京都内の運賃値上げ議論のなかで、政府内から、どんな業者でも一定の利益を得られるよう値上げ幅を決める現行制度に批判が出たため、国交省は業者に経営努力を促す仕組みの導入を目指す。 現在の方法は「総括原価方式」と呼ばれ、人件費や燃料費などの費用に加え、適正な利益額を確保できる売り上げを業者が稼げるように値上げ額を算出している。政府の「物価問題に関する関係閣僚会議」は、この方式の見直しを条件に東京都内の運賃値上げを了承した。 閣僚会議メンバーで最も値上げに慎重だった大田経済財政担当相は、「収益が自動的に確保できる仕組み」と指摘。「経営努力をしなくても退出することがない、護送船団方式」の根源と批判した。 利益が足りなくなれば値上げ申請時に原価をふくらませば良く、値上げで客が減れば「歩合制給与」を減らすことで運転手にそのつけを押しつけることもできる。値上げ認可を審査する国交省幹部も、「リスクのない仕組みだ」と認める。 今後の議論では「事業参入規制の緩和の効果を、価格やサービスで消費者に還元する」という観点を重視。安易にタクシー台数を増やすような経営努力を怠っている業者に、値上げを認めないことなどを検討。消費者がタクシー会社を選択できるような市場の仕組み作りにも、乗り出す方針だ。検討会には「消費者を代表するような方にも入ってもらうことになる」(国交省)という。 一方、閣僚会議は上限運賃を設ける認可制度そのものの見直しも議論するよう求めた。運賃やサービスを多様化し、消費者の選択肢を増やすのが狙いだ。ただ、国交省には、「街でタクシーを拾う『流し営業』中心の東京では運賃がばらばらだと、かえって客が困る」と、認可制度を残そうとする意見も強く、最終的な着地点は不透明だ。 PR情報この記事の関連情報政治
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