京都大医学部(京都市左京区)が本年度から、医学科1年の全学生を対象に外来患者の案内などを手伝う医療ボランティア実習を行っている。患者と対話し思いやることの大切さを知り、医療人になるための学びにつなげるのが狙いで、全国でもあまり例のない試みという。
専門教育を受ける前に、地域医療での患者サービスを体験し、患者の視点から医療人として何が必要なのかを理解する。チーム医療や事務職員と協力することの大切さを知ることも狙いという。
8月から京大医学部付属病院を始め府内外の病院約30施設に学生が出向き、それぞれが延べ5日間、外来ボランティアの一員として医療ボランティアを体験している。昨年は医学部や薬学部から希望者が参加、本年度から医学部医学科の1年100人は必修とした。
京大病院の実習では、学生が1階のフロア各所に立ち、自動受付機の操作を補助したり、患者に話しかけて案内したりと、自らが動いて患者の手助けをしている。実習に参加した佃綾乃さん(医学科1年)は、阪神淡路大震災を経験して人の命を救う医療を目指したといい、「ありがとうといわれると、とてもうれしい。患者さんの役に立ちたいという気持ちに改めてなれました」と話していた。
医学研究科医学教育推進センターの平出敦教授は「受け入れてもらった病院も、みんなで学生を育てようと熱心に指導をしていただいている。何のために勉強をするのか、医療人としての姿勢を1年から身につけてほしい」と話している。
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