富国生命ビル、28階に建て替えへ
◆テナント立ち退き決着、複数の大学誘致も
大阪・キタの大阪富国生命ビル(北区小松原町)をめぐる立ち退き訴訟が決着し、28階建て高層ビル(高さ約133メートル)への建て替えが決まった。大阪市もビル敷地を都市再生特別地区とする計画変更を31日の市都市計画審議会に提出、承認される見通しだ。店舗やオフィスのほか複数の大学を誘致する考えで、来年着工、2010年秋に完成する。建設ラッシュが続く新しいキタの一翼を担うビルになりそうだ。
市などによると、新ビルは地上28階、地下5階。ビル側は低層階の2フロアを割安価格で大学のサテライト教室に提供し、1階部分の西側約500平方メートルを開放して、買い物客らの休憩スペースも設ける。
1964年に完成した現在のビルは地上9階、地下5階で、高さ約31メートル。建て替えの場合、同約40メートルが上限だが、市は「地域活性化につながる」と、容積率が大幅緩和される同特別地区に変更することにした。
同ビルをめぐっては、所有者の富国生命保険(東京)が、耐震性への不安や老朽化を理由に建て替え方針を決めたが、テナント13店が立ち退きを拒んだ。同社は昨年4月、明け渡しを求めて大阪地裁に提訴。これまでに全店が明け渡しに合意したという。
キタ周辺では、11年に梅田北ヤードの先行開発区域の街開きが予定されているほか、JR大阪駅新北ビル建設や阪急梅田本店の建て替えなどを控えている。富国生命保険は「今あるビル以上に親しまれるビルにしたい」としている。
(2007年10月30日 読売新聞)