10年ぶりの高値を更新し、安定度も抜群の通貨とは？

ある国の通貨が10年ぶりの高値を更新中で、どんどん上昇しています。

シンガポールです。
シンガポールドルの対米ドルレート（USD/SGD）は、今週1.450台の水準までシンガポール高が進行していますが、これは1997年夏以来10年ぶりの水準です。

そのため、USD/JPYが円高になっても、SGD/JPYは堅調さを保っています。
具体的にいえば、USD/JPYは年初の119円と比較して昨日時点では114円と円高になっていますが、SGD/JPYは年初77円と比較して昨日は79円と、円高ではなくむしろ円安になっている。といった具合です。


円安になっているだけなら、他にEUR/JPYやAUD/JPYも同様なのですが、SGD/JPYは安定性も兼ね備えています。
今年は急激な円高局面が2度ほどありましたが、月間の変化率の平均値をとってみますと、主要通貨のなかではUSD/JPYとSGD/JPYが3％台、EUR/JPYとGBP/JPYは4％台、AUD/JPYやZAR/JPYは7％台、NZD/JPYは8％を超えています。

つまり、安定性（変動率が乏しいこと）と収益性（円安になっていること）の両方を兼ね備えた通貨としては、今年はSGD/JPYがナンバーワンであることがわかります。


これほどの優良通貨でありながら、現在、大手外国為替専門業者としては、FXプライムしかSGD/JPYを取扱っていないことに加えて、情報が乏しいという声を聞きます。

今月発表された重要指標としてはシンガポールのGDP。
今年第3四半期のGDP（前年比）は＋9.4％と予想を上回る高成長が続いています。前年同期比では2003年第3四半期から17期連続で、前期比でみても14期連続でプラス成長を持続しています。

シンガポールは日本と違って国際感覚豊かで知的水準の高い政治家のリーダシップにより、経済発展も財政健全化も資本流入も止まらないといった印象です（ご参照：6/17記事）。

あまり大きなニュースにはなりませんでしたが、こうした経済・金融環境を受けて、管理通貨政策を採っているシンガポールの通貨当局は、「緩やかな通貨高政策を維持する」ことを明言しました。

10月10日にシンガポール通貨当局（MAS：Monetary Authority of Singapore）が発表した金融政策（↓）


＝＝＝＝＝MASのHPより引用開始＝＝＝＝＝
MONETARY POLICY
The Singapore economy has expanded at a rapid pace in 2007, underpinned by robust growth in non-IT manufacturing and asset market-related activities in the first half of the year. Going forward, while the economy is expected to moderate to a more sustainable pace, inflationary pressures stemming from external sources, as well as domestic conditions including a tight labour market and rising rental costs, will persist.

Against this backdrop, MAS will continue with the policy of a modest and gradual appreciation of the S$NEER policy band in the period ahead. However, we will increase slightly the slope of the S$NEER policy band. There will be no re-centring of the policy band, or any change in its width. In our assessment, this policy stance will remain supportive of economic growth while capping inflationary pressures and ensuring price stability over the medium term.
＝＝＝＝＝MASのHPより引用終了＝＝＝＝＝
（*）S$NEER：Singapore dollar nominal effective exchange rate


第2パラグラフの冒頭で、modest（適度）でgradual（段階的な）、appreciation（通貨価値上昇）のpolicy（政策）をcontinue（継続する）と明言しています。


当局から“お墨付き”を得たことは、シンガポールドル保有者にとっては心強いニュースといえるでしょう。
ソニーも自分たちが“日本を見捨ててシンガポールを選択”（ご参照記事）したことが正しかったと喜んでいるかもしれません。。。



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