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【社説】外国人投資家に見放される韓国

 外国企業が韓国での投資を中止し、海外へ引き揚げた資金の総額が、この2年間で83億ドル(約9520億円)に達することが分かった。これは大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が国会に提出した国政監査資料により明らかになった。

 外国企業が投資を中止し、引き揚げた金額は2001-04年には年間8-13億ドル(約920億-1490億円)程度で推移していたが、05年に32億8000万ドル(約3760億円)、06年には50億6000万ドル(約5800億円)と急増した。外国資本の撤退が大規模となった一つの要因は、小売業大手の米ウォルマートと仏カルフールが韓国企業との競争に敗れ、撤退を余儀なくされたからだ。この2社の撤退により、25億ドル(約2870億円)の資金が引き揚げられることになった。しかし外国企業が投資を中断し、韓国から引き揚げている根本的な原因は、韓国が投資先としての魅力を失ってしまったからだ。

 外国人による直接投資の申告額は2004年には128億ドル(約1兆4680億円)だったが、05年に116億ドル(約1兆3300億円)、06年には112億ドル(約1兆2850億円)にまで落ち込んだ。一方世界全体では外国人直接投資の総額が04年の7110億ドル(約81兆5450億円)から05年に9460億ドル(約108兆5000億円)、06年に1兆3060億ドル(約150兆円)へと爆発的に増加している。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は「北東アジアのビジネスの中心」といったスローガンを掲げていたが、現実には「北東アジアのビジネスの辺境」となってしまったのだ。

 昨年、海外から最も多くの直接投資を呼び込んだのは米国の1754億ドル(約20兆1000億円)。その後をイギリスの1395億ドル(約16兆円)、フランスの811億ドル(約9兆3000億円)、ベルギーの720億ドル(約8兆2600億円)が続いており、1位から4位までを先進国が占めた。そして5位は695億ドル(約7兆9700億円)を記録した中国だった。総合的に見ると、外国人直接投資の66%に当たる8570億ドル(約98兆2600億円)が先進国に集中していることが分かる。これは、外国人直接投資を呼び込む上で、低賃金が最大の要因ではないということを示している。

 実際に外国企業が投資を決定する際に考慮するのは、部品・素材など関連産業の状況や金融・法律・保険・会計といった事業支援サービスの水準、質の高い労働力、政府政策の合理性、透明で公正な司法運営、教育環境を含む生活環境のレベル、コミュニケーションの円滑さといった要素だ。韓国への投資が振るわないのも、外国人投資家らがこれらの要素を考慮したとき、韓国の企業環境が先進国のそれと比べて劣っていると判断したからにほかならない。「ビジネスしやすい国」といった口先だけのスローガンでは、外国人投資家の心をつかむことはできないのだ。

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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