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2007年10月30日 22時00分00秒

第298話「綻びXII」

テーマ:女子高校生恋愛記


書籍「せんせぇに愛たい」発売中です♪
ブログではもう読めない期間限定テキスト他、
オリジナル特別編も収録してます。


登場人物紹介


BGM(PC限定・別枠)


。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜




溢れる涙を手の甲でぬぐう静香の様子が目に入る。

それは全然功を奏すことなく、
ただただ彼女の右手を濡らすだけに過ぎなかった。


静香の袖口にも涙の雫が伝って、
涙色に変わっていく。








「もういいって…どういう意味?」



「………」



「もしかして別れるってこと?
そうなの?! せんせぇ、私と別れたいの?!」



「………」















何と答えればいい…?



「ああ、平気で嘘をつく女なんかとは
さっさと別れてしまいたいね」

とでも言うべきなのか…?







違う…


俺は…

そんなこと望んじゃいやしないっ!!




俺は…

彼女のことを心から愛していて、
出来ることなら…

出来ることならいつか一緒になりたいって…



そう思っていたんだ…
















別れたいわけないじゃないか…

























けど…



彼女が嘘をついていた、という『事実』が
重い重いプレッシャーになって乗りかかってくる。




思い出したくもないのに、
勝手に人の頭を過ぎっていく過去の幻影。




































「それで・・・お父さんが・・・
お正月ぐらい夫婦で過ごさなくてどうするんだ、って言ってて・・・
だから・・・」







かつて愛した人の言葉―――














信じていた彼女の言葉は…





すべて『嘘』だった…

















静香は…違うに決まってる…


俺だって、
必死にそう思いこもうとしたさ…



でも無理なんだよっ!!

もう一人の自分が…
過去の自分が嘲笑しやがるんだ…





「お前さ、バカじゃないの?
いい加減学習しろよ。

どれだけ痛い目に合わされれば満足なわけ?
『彼女』だったら嘘つかないと思ってんのか?

目を覚ませよ、バ~カ(笑)」





















どうしたら…いいんだよ…


















そのとき―――

目の前の彼女がいきなり立ち上がって…

ホントにいきなりだったから、
叩かれるなんじゃないかってドキッとする。
ってどんだけ臆病やねん(汗)



立ち上がった静香の動きにつられて、
さっきまで彼女が座っていた椅子の勢いが止まらず…

ちょっと大袈裟な言い方かもしれないけど、
まさに「飛んでいった」感じで…

それは書棚とぶつかり、
ドーンという大きな音を響かせた。



ハッと音のしたほうに振り向くと、
椅子は書棚にぶつかったあと、
しばらくの間ガタガタと床の上で震えていたものの、
少しずつその動きをおさめようとしていた。


ってか、やばくねぇ?!(汗)
今の音、かなり響いたよね?!

下の階にいるお母様にも聞こえたかもしれない。
何事?ってピクッとしたかもしれない。


一瞬不安になって、
階段を登ってくる音がしてないだろうかと、
ドアのほうをチラッと見たそのとき、

両腕に何かが触れる感触。





「やだよ、そんなのやだよ…
私、せんせぇと別れたくない…」





両目を涙一杯にした静香が
俺の腕を必死につかんでいて…




「ご、ごめんなさい…
嘘ついてたのは謝るから…

だ、だから…ひっく…別れるなんて
言わないで…お願い…」





彼女は…

泣きじゃくりながら俺の腕にすがって、
必死に訴えていたから…





「私、や、やだよ…
ひっく、ひっく…
せ、せんせぇと別れたら…
生きていけないよぅ…

お、お願いだから…ひっく…
別れないでください…

お願い…」



















しず…か…





















俺の腕の上に、
彼女の涙の雫がボタボタと落ちる。

濡れたところが、クーラーの風にさらされて、
ヒンヤリして少し寒くさえ感じられた。



俺の両腕を絶対に離すまいとばかりに
必死につかんでいる静香を見ているうちに、



なんか…


彼女のことが可哀相になってしまい…








「べ、別に…
別れるだなんて言ってないだろ?
とにかく泣くなよ。
お母さん来たらどうすんだよ…」



静香に捕まれた腕を優しく外したあと、
手を机の上までのばしてティッシュを数枚抜き取り、
彼女の目もとを拭いてやる。




どうしてこんなこと言ったのか…


どうしてこんなことをしたのか…










彼女と本当に別れたくなかったから…?


彼女のことを愛していたから…?




もちろんそういった気持ちも
決して偽りじゃないんだけど…







ただ…


この世の終わりとばかりの
悲しそうな表情を見せる静香が







あまりにも哀れに思えてならなくて…










思わず同情してしまったというほうが正しいかもしれない…




















少し時間を置いて、
静香の動悸が治まるのを待った。

興奮していたせいで
酷くハァハァと苦しそうな様子を見せる。



「大丈夫か?」


背中をそっとなでながら聞くと、


「う、うん…。ありがとう…大丈夫だから…」


顔を少しだけ傾けて俺の方を見た彼女は、
無理やり笑顔を作ろうとしていた。


それからしばらくの間、
深呼吸をしたり、胸をなでたりして、

ようやく落ち着きを取り戻し、
荒い呼吸が収まった彼女を見て、
ホッとしたそのとき、





「せんせぇ…

お願いだから…
私の話を聞いて…?」




彼女は両腕をのばし、
今度は俺の手を握った。

静香の呼吸と体温が近に伝わってくる。

彼女の必死な想いが伝わってくる。





「分かった…聞くよ…」



「ありがとう…」







偽善者ぶりやがってと思われるかもしれない。

けど、もう静香の涙を見たくなかった。
彼女の涙を見るたびに胸が締め付けられた。


彼女が話をして満足するのであれば…

聞いてやろうと思った。

ただ、それだけのこと。



聞いたからといって…








俺の気持ちが今までと同じであり続けられる
保障などどこにもないけれど…





















静香は…

一呼吸したあと、ゆっくりとゆっくと…

口を開いていく。



それは…

自分の想いを素直に思いのまま伝えようと、
強い意志と覚悟を持っているように思えた…



大きな瞳をしっかりと俺に見定めていた。





「私ね…ずっと思ってたんだ…」












次回も…

24時間期間限定です。



お見逃し無くっ!!





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それでは次回の更新予定時間です。
なんとなんと…


コメント

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■無題

あ、これはきっと仲直りだよね。
少し安心しました。

ずっと思っていたこと?
うーん、たぶん・・・
「同世代の人と付き合いたかった」
ってところでしょうか

次回も楽しみにしてます(^O^)

■無題

だから、静香ちゃんの話が聞きたい…デス。

■無題

絶対別れさせないで!

■信じようよ

静香ちゃんのこともっと信じようよ・・・・このままじゃあ悲しいじゃんか

■無題

あ、やっぱり誤解だったのね。
良かったねぇ。
ま、とりあえず別れるという選択肢は消えたかな?

■ヒカル先生頑張って♪

良かったぁ。゚(*PД`q)゚。
もぅ続きが気になって02…
まめにチェックした甲斐がぁりました♪
とりあえず次回良い方向へ向かいそうで
安心しましたッ(∩∀`★)

ヒカル先生が1番辛かったのは
愛する人に嘘をつかれたこと…
美沙さんのことを思い出して
辛かったんですね。

でも、ヒカル先生にだって
愛する人に嘘をついたことがあるはず…

どんなに愛していても…
そういうやむを得ない状況って
あるのではないでしょうか??
それをヒカル先生は良くご存知なのでは…??


な~んて言ってもこれは過去の話…
恐らく今は仲良くしてぃるのでしょうw

し~ちゃんがヒカル先生のことを
本当に愛しているんだと
このブログを読んでて良く分かりますv
先生ももう少しゆとりを持って
安心してし~ちゃんを信じてあげれば
良いのではないでしょうかッ(b'v`●)b

し~ちゃんと歳が近いぐらいなくせに
生意気なこと言ってごめんなさぃ(つω-`;)

■何とか踏み止まったけど…

一体何をいうのかなあ(^_^;)
怖いなあ(^_^;)

■無題

これゎあくまでも私個人の感覚なので静香チャンにゎ当てはまらないと思いますが、中学生で恋をして大好きで大好きで愛して…気付いたら他の恋愛ゎ知らないまま…自問自答すると思うんです。一生にたった一度だけの恋なんてあり得るのか?その人しか知らないのに、それが本物なのかって… でも内緒で他の人とデートして初めて、やっぱり私が恋したこと愛した人ゎ間違いぢゃなかったって。嘘ゎ後ろめたいし後悔もするけど、でも自分の気持ちがちゃんと確認できて良かった。もう迷わない。そんな風に思う行動も10代のしぃちゃんなりにあるんぢゃないかな…なんて自分の感覚と重ねて読んでました。

■無題

過去にみささんに嘘つかれてたんですね。。
う~んそれがどんな嘘だったのか、しーちゃんがついた嘘はどんな理由からだったのか、まだわからないけど何かそれなりの理由が双方ありそうだし、愛した人とずっと一緒にいられることこそが一番大事なのでは・・。
それに↑上の方も書かれてますがこんな若いし~ちゃんとつきあっていく上で小さな裏切りもショックでゆるせないって縛ってると結婚して妻になった後に他の恋愛に対する興味が爆発してしまい今よりもっとエライことになりそうな気がします^^; 今先生に夢中になってる時に他の男の子と触れ合わせておいたほうが後々のためなような・・?
ってすべて過去のことだからあれこれ言ってもしかたないかな(笑;

■かほさんへ

過去の美沙さんの嘘って過去ログに出てますよ。読んでないのですか?
批評するなら全部読んでから冷静に判断することをおすすめします。

■無題

高校生の女の子を泣かすなぁ!
歳が離れてるなら、男と会っていた位で騒ぎ立てない事!
高校生のカップルみたいなもめ事は、止めようよぉ(汗)

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