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被害を調べる静岡中央署員ら。
ササ原には富士山の眺望を良く
するために伐採された切り株が
幾つも隠れている=山伏 |
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静岡市と山梨県の境界に位置する安倍奥の山伏(やんぶし、標高2014メートル)で、大量の樹木が人為的に枯らされたり、倒されたりしていることが静岡森林管理署などの調査で分かった。同管理署からの被害届を受けた静岡中央署と山梨県警南部署が器物損壊の疑いで捜査に乗り出した。同管理署は「見晴らしを良くするための身勝手な行為」と批判し、防災林への影響も懸念している。 被害を受けたのは、国有林、静岡市有林、山梨県有林の樹木合計113本。樹皮を切り取って枯らす「巻き枯らし」処理が施され、うち35本が倒されていた。作業は5年以上かけて行われたとみられている。 山伏には多くの登山者や写真愛好家が訪れ、山頂近くの展望地から、広々としたササ原と天然の立ち枯れ木の向こうにそびえる富士山を楽しむ。被害は、これまで鮮明な展望が得られなかった山頂から富士山や南アルプスを望む方向に集中している。静岡市山岳連盟の常任理事で安倍奥の山に詳しい片山充孝さん(58)は「展望はつくるのではなく探すべき」と訴える。 伐採した木を使って10基のベンチが許可なく設置されていたことも分かった。静岡森林管理署などは一帯が県立公園特別地域に指定され、工作物の無断設置が県立自然公園条例に違反するなどとして下旬、すべてを撤去した。ベンチについては入山者の声も踏まえ、今後、新たにその必要性を慎重に検討するとしている。 山伏の森林は土砂流出防備保安林などに指定され、防災林の役割も果たす。周辺には大谷崩など大規模な崩落地があり、同管理署の石井久夫流域管理調整官は「災害防止に必要な樹木を景観のために倒すのは無責任」と一部入山者のモラルを嘆いている。 |