グリーンピア南紀跡地開発事業から中国系企業が撤退
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 多額の年金資金を投じて建設され、経営不振のために平成15年に閉鎖された大規模保養施設「グリーンピア南紀」(和歌山県那智勝浦町、太地町)の跡地開発問題で、那智勝浦町と土地建物の賃貸借契約を結んでいる中国系企業「香港ボアオ」が開発事業から撤退する意向を固めたことが30日、わかった。31日に香港ボアオのオーナーの蒋暁松氏と中村詔二郎町長とのトップ会談が行われるが、同町議会の契約解除決議などの影響もあり、ボアオ側は「現状では撤退の可能性が高い」としている。
 跡地開発をめぐっては、那智勝浦町が17年12月に香港ボアオと土地建物の賃貸借契約を締結した。賃貸借期間は10年で賃貸料は総額約1億6000万円。契約を誠実に履行した場合は跡地をボアオ側に譲渡する内容になっている。
 当初の計画では18年4月に旧ホテル棟をリニューアルオープンすることになっていたが、工事のめどがたたず、今年5月にボアオ側から、開業を5年先延ばしし、23年末とする事業見直し計画案が町に提出された。
 17年の契約が当時の経済産業相だった地元選出の衆院議員、二階俊博自民党総務会長の大臣応接室で締結されていたことが判明。業者選定に対して二階氏の関与を指摘する声があがったほか、開発による環境悪化を不安視しする周辺住民が工事差し止めを求める仮処分を和歌山地裁に申請するなど開発は混迷している。
 また、町議会も住民側に十分な説明もなく一方的な計画変更が行われたとして反発。先月28日の町議会で「事業計画書に変更が生じた場合は事前に書面で届け出なければならない」とする契約事項に反するとして契約解除を求める決議案が賛成多数で可決された。
 今月29日に開かれた町議会のグリーンピア特別委で、中村町長が「(開発計画を進めるため)もう一回努力しろというなら決議を撤回してほしい」などと説得したが、議会は応じなかった。
 ボアオ側は当初から、「地元が歓迎して協力があれば事業は継続するが、そうでなければ撤退する」との方針で、町議会側の意思が契約解除で固まったため、事業を進められる環境ではないと判断したもようだ。
 一方、中村町長も「議会制民主主義のルールにのっとって行動する」と話しており、大阪市内で非公開で行われるトップ会談は町側も計画を白紙に戻すことを織り込んで臨むとみられる。

 

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