治安権限がイラク側に引き渡されたのはバグダッドの南にあるシーア派の聖地カルバラを含むカルバラ県で、２９日、マリキ首相らが出席して式典が行われました。この席でマリキ首相は、カルバラに続いてことし中に南部のバスラ県の治安権限も移譲されるとの見通しを明らかにする一方、「さまざまな問題を乗り越えてイラクの治安部隊をできるだけ早く全国に再配備しなければならない」と述べ、権限移譲のスケジュールが大幅に遅れていることを率直に認めました。イラクではカルバラ県の移譲で全国１８の県のうち８つの県でイラク側が治安を担当することになりますが、当初ブッシュ大統領はことし１１月までに、またマリキ首相もことし中にすべての県で移譲されるとの見通しを示していました。アメリカ軍とイラク軍はバグダッドを中心とする大規模な軍事作戦でテロの数が大幅に減ったと成果を強調していますが、２９日もイラク中部で警察学校を狙った爆弾テロで訓練生ら２８人が死亡するなど治安の悪化が続いていることが権限移譲が進まない最大の要因となっています。