神戸市内の私立高校で自殺した男子生徒=当時=(18)=が同級生らに金品を要求されていた事件で、二十九日、新たに同級生一人が恐喝容疑で逮捕された。逮捕はこれで四人目。学校側は、この日逮捕された生徒が自殺した男子生徒にブレスレットを売り付けていたことを把握していたが、これまでの会見で「いじめには当たらない」と説明。いじめ対策の懇談会を開いた直後でもあり、校長は「生徒を信じていたが…」と苦渋の表情で釈明した。
「ご遺族や保護者の方々にご迷惑をかけ大変申し訳ない。容疑を考えればいじめを超えたものととらえざるをえない」
同日午前、四人目の逮捕を受けた会見で校長、教頭、生徒指導部長が深々と頭を下げた。生徒指導部長は「(今回逮捕された生徒は)いじめに関与していないとみていただけに驚きを隠せない。独自調査で知り得ない話が出て、警察が逮捕したと思う」と話した。
逮捕された生徒は、学校の調査に対し「ブレスレットは、亡くなった男子生徒がほしがっていると聞いたので、四万円で売ろうと思った」と説明。学校側は物品売買を校則で禁じているため、保護者を学校に呼んで一緒に注意したという。
兵庫県教育課は「学校からの報告でもブレスレットの件は出ていたが、売買で恐喝ではないと聞いていた。今回逮捕されたのは同じグループ以外の生徒ということで、よりいじめが広がっていたように感じる」とし、三十一日にも学校側に報告するよう求めた。
事件では、今年七月三日、男子生徒が校舎の渡り廊下から飛び降りて自殺。「毎日のように(金銭要求の)メールが来るけど、払えるわけがない」との遺書があった。
学校側は当初、県に「いじめは認められない」と説明していたが、同級生三人が恐喝未遂容疑で相次いで逮捕された。携帯電話のメールで金銭を要求し「一回うそをついたら一人あたり一万円払う」という“ゲーム”を行うなど金品の要求が明らかになり、学校側もいじめが自殺の原因の一つと認め、謝罪した。今回逮捕された生徒については、男子生徒が遺書で名前を挙げていたが、学校側は九月二十一日の会見で「いじめとは思わない」と説明していた。