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母子世帯に支給される児童扶養手当のあり方が揺れている。国は来春から支給額を段階的に削減し、代わって就労支援を充実させる方針を示しているが、「削減の凍結」「一部凍結」の声もある。一方、シングルマザーたちは「就労支援には実効性がない」などとして凍結を求める声をあげている。 (近藤亜矢子)
国は2002年、「経済的支援から自立支援への転換」を打ち出し、08年度以降は5年以上手当を受け取っている世帯への支給額を、半分まで削減出来るという「児童扶養手当法」の改正案を成立させた。 その後、福田政権が誕生。急進的な構造改革路線の軌道修正のため、一時、削減の凍結が示された。しかし、厚生労働省の調査で、06年の平均年収が前回調査(03年)より1万円増の213万円となったことなどから、凍結対象を低所得世帯に限定することも検討されている。 こうした動きに対して、母子家庭による全国組織「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」は今月14日、東京、大阪、福島、福岡の各都府県で、手当削減廃止を求める緊急アピールを行った。 JR大阪駅前では、NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西」の呼びかけで、親子や支援者ら約30人が集まり、「おかねをへらさないで」「シングルマザーとこどもたちを生きさせろ!」などと書かれたプラカードを掲げ、通行人らに訴えた。 参加した大阪府豊中市の母親(44)は、4歳の娘を育てている。以前は病院の診療請求管理の仕事をしており、年収は400万円あった。娘は保育所で過ごし、手当なしで生活していたが、昨年、リストラで職を失った。今はパート勤務で月収約10万円。今年、手当の受給を申請し、来月にも支給が始まるという。 「いつ職を失うか分からずに働く女性が多い中、児童扶養手当は命綱。それを切るようなことをなぜするのか」と訴えた。 休日、病児・・・保育充実を離婚後、4歳と2歳の子どもを育てながら働いている大阪府内の母親(28)を取材した。 母親は、今の契約社員の職を得るため、何度も会社に通い、手紙を送った。「休日出勤、できます。子どもが病気の時も出勤します」。そう言えなければ、職を得られない。 当時、住んでいた市には休日保育や病児保育の制度はなく、市と交渉して、受け入れ先を確保した。元夫からの養育費が滞ると、自力で強制執行を申し立てた。 月収は手取り13万円。児童扶養手当は3万5500円。部屋にテレビや新聞はなく、情報収集はラジオと図書館。猛暑の今夏はエアコンなし。それでも周囲からは「(母子家庭なので)国からお金がもらえ、悠々自適なんでしょ」と言われた。 不安なのは、2児の将来だ。例えば中学校進学。私学を受験する余裕はない。それどころか、今の子どもなら当たり前のように体験している野外活動やスポーツ、習い事などに、一体いくら費用が必要になるのか。 「一生懸命働き、子どもをきちんとした納税者に育てたい。手当を削るなら、母親が働けるよう、休日保育や病児保育を充実させるべきだ。子どもが格差なく学べるよう、教育の充実も図ってほしい」と要望した。 児童扶養手当父親と生計が違う子どもの育成支援として1962年に作られた。額は母親の所得と扶養親族の数で決まり、子ども1人の世帯で月額9850円〜4万1720円。2人目は月5000円、3人目からは月3000円ずつがそれぞれ加算される。受給には所得制限があり、子どもが18歳まで支給される。市区町村で申請手続きを行い、受給資格者は毎年「現況届」の提出の必要がある。受給者は年々増え、2007年2月末で98万7450人。 (2007年10月17日 読売新聞)
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