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2007年10月30日

 今なら「政界」と書くところを、明治期の記者は「政海」と書いた。政治を海に例えた背景に大きな志とロマンを感じるのである

政海を泳ぐのは政治家と官僚の二種類の人間だ。昨日、証人喚問に立った守屋前防衛事務次官に対して「根回し上手で、政治家の間を泳いでいるうちに勘違いして道を誤った」との趣旨のコメントをした政治家がいた

泳ぎが得意なカッパでも過信すれば溺れるが、守屋前次官は政海を自信満々に泳いで溺れたカッパのようなものでインド洋の給油継続を困難にし、利権にうごめくモンスター官僚に育ってしまった

証言からは、志や使命感が露ほども感じられなかった。何百億円もの血税がゴルフのほか、焼き肉やカラオケ接待など所帯じみた餌で釣り上げられたことは情けない限りであり、この人物がつい先日まで官僚トップを務めていたかと思えば背筋が寒くなる

特に印象深かったのは「ポストが上がるにつれてストレスがたまる」から接待を受けたとの一言だ。偉くなると人格が高まる人と、逆に倫理観が崩れる人物がいる。人材登用の要諦はその見極めにあるとつくづく思うのである。


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