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廃プラ、焼却7割 主要都市調査 埋め立て限界

2007年10月29日08時03分

 「不燃ごみ」扱いされることの多かったプラスチックごみを「可燃ごみ」として焼却処分する自治体が急増、政令指定都市、県庁所在地市合わせて50の主要都市では7割にのぼっていることが朝日新聞社の調べでわかった。背景には焼却処分に方向転換する東京23区同様、焼却炉の性能向上でダイオキシンなどの排出が抑制される一方、埋め立て用地の確保が困難になってきていることがある。ただ、安易な焼却はごみ減量化への動きに水を差しかねないとの懸念もある。

 調べによると、プラスチックごみを焼却しているのは青森、大阪、熊本など33市。埋め立てが札幌、津、徳島、長崎など6市。物によって焼却と埋め立てを併用しているのが千葉、神戸、山口など10市。すべてリサイクルが鳥取市。過去5年で前橋、新潟、大分など11市が焼却に変えた。埋め立てだった東京23区は10月から一部を焼却、来年度全面実施する。

 容器包装リサイクル法のもとでリサイクルしているのが32市あった。

 環境省によると、全国の市区町村の約4割がプラスチックごみを「不燃ごみ」として収集しているが、名古屋市のように「焼却不適物」として収集した後大半を燃やしている市もある。実際に焼却している自治体の数はもっと多く、今後も増加しそうだ。ただ、地元住民との約束などで焼却ができない自治体もある。

 焼却処分を後押ししたのは02年のダイオキシン規制強化だ。ダイオキシン発生抑制のために高温焼却が義務づけられ、焼却炉の改修や新設が進んだ。この結果、熱量が高く炉を傷めるとして埋め立て処分していたプラスチックごみも燃やせるようになった。

 一方で、埋め立て処分場が限界にきているのも事実だ。さらに、環境省が05年5月、自治体に通知した廃棄物処理法の基本方針も拍車をかけている。「プラスチックごみは埋め立てを避け、焼却施設での発電など熱回収が適当」との内容だ。

 しかし、安易な焼却処分に警鐘を鳴らす意見もある。倉阪秀史・千葉大准教授(環境政策)は「燃やせばごみの一生は終わりになってしまう。埋め立てよりはまだいいが、再使用やリサイクルして有効に活用した後、燃やす以外に方法がなくなってからにすべきだ」と指摘。ごみ減量化の動きにつながる政策を打ち出すことが先決、と主張する。

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