日曜(10/21)夜に放送された、NHKスペシャル『 学徒兵 許されざる帰還 〜陸軍特攻隊の悲劇〜』を見ました。
昨年、知覧特攻平和会館を訪れて以来、特攻隊についてく関心を持って色々な本を読んだり調べたりしてきた私にとっては興味深い内容でした。映画「TOKKO−特攻−」 もそうでしたが、元特攻隊員の方のお話は、いつ見ても胸に堪えるものがあります。
拙ブログでは、特攻について今まで30本以上のエントリーを書いています。色々調べて書いていくうちに、当初持っていた「自己犠牲を厭わない強い愛国心を持った当時の若者」というイメージはほとんど崩れ去ってしまいましたが(※)、この番組の内容も、特攻隊の実態と、特攻隊となった方達の本心に迫った内容だったと感じました。
命令された「死」を納得するためには、自分の死が家族や友達などを守ることになると思うしかなかった、と元特攻隊員の方が語っていましたが、以前にエントリーのなかで紹介させて頂いた永末千里氏が語るところと同じものでした。
当時、出撃した特攻隊員は「軍神」として華々しく報道していたようですが、生還した特攻隊員については、「死んだはずの軍神が生きていてはおかしい」と人目に付かないように「振武寮」に送り、精神再教育などが行われたという話もでてきます。
(余談ですが、こういう職務の本質とは異なる懲罰的な「教育」は、JR西日本で行われていたという「日勤教育」を彷彿とさせます)
「軍神が生きていてはおかしい」というのは、フィリピンの初期特攻の頃、朝日隊の磯川質男一飛曹の時が最初の例だったようですが、特攻隊はその戦果よりも国民の士気を鼓舞するためにその死を利用されていたという側面が見えてくる話だと思います。
また、機体の故障などにより生還した特攻隊員が「何で死ななかったんだ」と罵倒された話も多く目にしてきましたが、この番組の中にもそういった証言がでてきました。
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まだ再放送があるようなので、内容についてこれ以上は控えておきましょう。
再放送は、「10月23日(火) 深夜【水曜午前】0時20分〜1時9分 総合」だそうです。見逃した方はどうぞ。
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そういう方達もいたことは事実ですから否定はしませんが、おそらくそうではなかった方達、つまり実質はほとんど「強制」であって、「志願」といっても形式的に、あるいは命令者の責任逃れのために「志願」だったとされてしまった方達のほうが多かったという印象、ということです。
特攻とは何か (文春新書)
森 史朗
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