財団法人 異文化コミュニケーション財団
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南洋協会20年史より
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フォーラム「日本の英語教育を考える」

創立当初より、各方面多くの賛同人に
支えられてきました
〜『南洋協会20年史』より【原文より】(国会図書館 蔵)〜
起源
 徳川幕府三百年の鎖国政策は、国民をして井底の痴蛙たらしめ、世界的文化に接触するの機会を逸し、ついに欧米列強に追従するのやむなきに至らしめたり。幸いにして明治大帝の雄図により日清日露の両役を経て、南は台湾を領し、北にサガレンを収め、次いで朝鮮を併せ、ここに国運の伸張を見るに至れりといえども、なおもこれらの地域は、未だもって鬱勃たる我民力を伸ぶるに足らず、国力の充実を期せんか他にこれが発展地を求めざるべからず。(中略)殊に我邦と南洋とは地理的に歴史的に、経済的に最も親密なる関係を有し、民情また邦人に佳きものあり。然るにこれら南洋諸島に関する我国民の知識は、なお極めて稚弱にして遠隔せる欧米諸国民のそれだにも及ばず、彼の南洋人士の我国に対する所もまた同様なるを免れず、この欠陥を補って、我国の経済的発展をまっとうし、併せて親密なる交誼を進め、相互の福利を増進せんとする。これ本会創立の起源となす。
 かくて本会はその創立の端を明治45年(1912年)の春に啓きしもの、偶偶明治大帝の御登遐に遭い、加うるに政争相次ぎ時局安定せず、世を挙げて唯だ眼前の利に趨き、国家百年の長計を樹つるの遑なき際なりしにかかわらず、その創立は最も緊要なる挙として、各方面の官民有力者の一致的賛同を経たり。

財団創立の経緯
 1915年(大正4年)1月30日 築地精養軒において発起人創立総会開催。近藤廉平男爵座長席につき、台湾民政長官内田嘉吉君創立者を代表して従来の経過を報告す。
 南洋発展のことは数年来朝野の識者によって唱道せられし所なるも、未だ組織的発達を見ることかなわざりしは甚だ遺憾とせしところなり。広く南洋の事情を調査研究し、もって南洋利源の開発に努め、彼我民族の福利を増進するは、刻下の最大急務にして我大和民族の一大使命たらずんばあらず、しかるに偶々日独戦争の結果、昨秋帝国海軍のドイツ領南洋を占領するや国民の視線は南洋に集まり、我南洋発展は一層重大なる意味をもたらす事となれり。この際、我南洋発展に資せんが為、官民一致の公共的機関を創立するは決して徒爾にあらずと信じ、(中略)創立事務所を便宜上一時台湾総督府出張所内に設置することと為したり。
 爾来今日に至るまで朝野の名士約70余名の発起人を得て、本日創立総会を開くこととなりし次第なり。
 本会は、前述のごとき見地に立って創立されたるものにして決して何ら政治的意味を有せず、従って政党政派には何らの関係をも有せざるなり。また本会は直接に事業を経営するものにあらず、唯一に広漠たる百万方哩の南洋諸島における無限の資源を調査研究して之を邦人に紹介し、彼我の事情を疎通し、もって帝国の発展に資せんとするに外ならず云々。それより創立総会に移り、本会の趣旨規約草案を附議して一括可決し直に役員の選定に入る。(中略)一同異議なく可決(中略)創立総会を終わり直に立食に移り午後四時半散会したり。因に本会発起人諸氏の氏名左の如し。
    
設立発起人

財団趣旨
本創立総会において附議決定を見たる本総会趣旨は次の如し。

南洋諸島の広大なるジャワ、スマトラ、ボルネオ、セレベス、マレー半島、フィリピン群島のみをもってするも、およそ一百万方哩にして、無尽蔵の宝庫は世界民族の開発を待つあり。ことに我国と南洋とは地理的歴史的において、また経済的において最も親密なる千繋を有し、民情また邦人に佳きものあり。巨額の資本労力は現に注入せられ、将来益々発展の域に進まんとす。
 本会は汎く南洋の事情を研究してその開発に努め、もって彼我民族の福利を増進し、いささか世界の文明に貢献せんと欲す。想うに南洋諸島に対する我国民の知識および観念はなお極めて稚弱にして、遠隔せる欧米諸国民のそれにだも及ばず、彼の南洋人士の我国に対する所もまたまさにこの如くなるべし。今日に至るまで南洋に関する学術的社交的もしくは経済的の連絡を欠き、単に個人起業者の施為に一任して顧みざるはまことに遺憾とせし所なり。幸いに本会の創立によってこの欠陥を補い、彼我の経済的発展をまっとうし、あわせて親密なる交誼を進むるを得ば、一人国家の利益たるのみならずまたもって世界民族の慶福たらずんばあらず。大方の君子ねがわくば賛襄をおしむことなかれ。

1935年、昭和10年6月28日現在
 かくて年を送り齢を累ねここに創立20周年を迎うるに当り、この間における規約並びに役員の変遷を述べてもって現行規約並びに現在役員に及ぶ所あるを順序とすべけんも之を総会の項に譲り、ここに現行規約並びに役員諸氏の氏名を掲げて本項を終わる(中略)。


昭和11年3月1日当時 現行規約(省略)

会   頭 近 衛 文 麿(公爵)
副 会 頭 藤 山 雷 太
相 談 役 小 川 平 吉、 江 口 定 條
会計監督 三宅川 百太郎
    
評議員


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