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社説

浜岡原発判決 これでは安心できない(10月27日)

 地震が起きた時の原発の安全性について、周辺住民の不安を解消する判決と言えるのだろうか。

 静岡地裁が中部電力浜岡原発の運転差し止めを求めた住民の訴えを退けた。

 判決は、国や中電の主張をほぼ全面的に認めた。そのうえで、住民の安全に影響はないと結論付けた。

 結審後の七月、新潟県中越沖地震が起こった。東京電力柏崎刈羽原発では、揺れが想定を超える一○○○ガル近くに達し、大きな被害を受けた。

 これは、浜岡原発の最新の想定を大きく超える水準だ。国の新しい耐震基準でも原発は危ないのではないかという懸念も出てきた。

 今回の判決は、こうした地震に関する最新の知見をまったく反映していない。現実に目を向けない判決は、法律論としては正しくとも形式的すぎる。これでは住民の不安は消えまい。

 原発の耐震性をめぐっては、金沢地裁が昨年三月、北陸電力志賀原発の停止を命じる判決を出し控訴審中だ。

 静岡地裁の判決によって、一審の司法判断が分かれる形になった。

 国や電力会社は、今回の判決で原発の安全性が認められたと慢心すべきではない。さらなる耐震性の向上と情報公開に努めねばならない。

 浜岡原発が不安視されるのは、原発施設が東海地震の想定震源域の真ん中に位置しているためだ。

 裁判では、地震学や地震工学の専門家が、国の「想定東海地震」モデルを上回る地震が起きる可能性をめぐって論争を展開した。

 原告側は、地震時に急激にずれて強い揺れを引き起こす領域が、原発敷地直下にある可能性を考慮すべきだと主張した。

 判決はこれを退けたが、異論は消えていない。データと科学的知見に基づき、なお論争が必要な問題だ。

 老朽化に伴う耐震設計の妥当性も論争となった。とくに機器の金属の腐食に伴うひび割れや、配管の厚みが減る現象をどう評価するかについても科学者の見解は鋭く分かれた。

 地震では複数の重要機器が同時に故障する。このことを想定して耐震性を評価する必要がある−。原告はそう主張したが判決はあっさりと退けた。

 しかし、柏崎刈羽原発では地震によって各施設に複合的被害が出た。どのような揺れによって、どんな被害が出たのか。原子炉内部を含めた検証はこれからだ。

 原告側は、柏崎刈羽原発の被害実態や新たな知見についても考慮するよう裁判所に求めた。

 しかし地裁は国や中電と同じ考えを示し、原告の申し立てを却下した。

 判決を不服として原告は控訴する構えだ。控訴審では、最新の原発事故の知見を踏まえた審理が不可欠だ。

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