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来年度の不登校・いじめ対策は?
非常勤講師採用で積極的な家庭訪問?  10/19

 8月末、文科省は来年度の概算要求を決めた。概算要求によると不登校対策には外部の非常勤講師の配置、いじめ対策には小学校へのスクールカウンセラー配置などが盛りこまれた。一般会計の総額は6兆39億円で、前年度比13・9%増だった。

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 不登校対策としてあらたに始まるのが、外部人材による非常勤講師の配置事業。不登校のほか、小一問題(入学直後で落ち着かないなどの問題)などに対応する予定だ。事業は3カ年計画で計7500校、初年度は2500校に非常勤講師が配置される。配置される非常勤講師は、退職教員や臨床心理士など。文科省は「担任教員が家庭訪問に行ったあとの補充授業にあたるなど教員を支援し、積極的な対応が可能になる」と話す。非常勤講師の配置事業は、小学校高学年を対象に専科教員の増加や研修事業なども行われ、配置事業の予算総額は77億円が計上された。
 また、2年前からはじまったNPO活用実践研究も盛りこまれている。昨年度の15団体から今年度は20団体に広がり、予算額も前年比より3000万円増の1億3000万円に拡充された。今回はあらたに「高校中退」にとり組む民間施設に調査研究を委託する予定となっている。

いじめ対策
 いじめ問題については、「いじめ対策緊急支援総合事業」を新規事業としてはじめるほか、スクールカウンセラーの拡充配置など計88億円の予算が計上された。
 スクールカウンセラー拡充事業(約63億円計上)は従来のスクールカウンセラー補助と併せて、新規に小学校2000校へカウンセラーを配置していく。
 また、「学校問題解決支援事業」では、弁護士や警官OBなどの専門家チームが全国30地域で設置される。この専門家チームは、学校でいじめなどの問題が起きた際、親やマスコミなどへの対応、問題解決にあたる予定だ。予算額は5億円超が計上された。

メリハリのある給与体系へ
 来年度の概算要求では、教員給与にも大きな変更が見られる。文科省によると「教育再生のため、教員の子どもと向き合う時間を拡充し、学力の向上と規範意識の育成を目指す」とし、来年度から、3年間で教員定数を2万1000人、初年度には7000人増を計画している。増員の内訳は主幹教諭3700人、発達障害などに対応するための特別支援に900人などであった。このほか地域の人が部活動指導などに参加する「学校支援地域本部(仮称)」の創設(205億円計上)などが盛りこまれた。一方、「メリハリのある給与体系」を目指し、教員給与の2・76%減(430億円減)や平均残業時間を34時間から17時間へと半減すること、事務の効率化なども政策として盛りこまれた。

道徳教育 実施調査へ  専門家らがチームを組んで家庭教育を「支援する」ことを目的にした新規事業も盛りこまれた。この「家庭支援教育」チームは民生委員らで構成され、各家庭に対応ができるよう小学校区単位で配置され、相談や情報提供を行なう。来年度からはモデル事業として600カ所で実施される。
 また道徳教育の充実を目指し、全国的な実施状況調査、640校での実践研究が行なわれるほか、道徳教育の副教材「心のノート」も学習指導要領の改訂を受け、全面的改訂を図る。改訂前の「心のノート」もさらに500万部が配布される予定となった。

 

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