熊本市は25日、同市の慈恵病院が設置した「赤ちゃんポスト」(こうのとりのゆりかご)の運用状況を検証する市要保護児童対策地域協議会の関係機関会議を開き、虐待を受けた子どもが預けられるなどの違法なケースはなかったことを確認した。会議は非公開で、終了後、幸山政史市長が内容を発表した。

 同協議会は児童相談所や警察など41機関で構成。法医学など外部専門家5人の専門部会が8月末までの運用状況の検証を既に終え、この日の会議で報告した。

 報告では、子どもの安全確保に大きな問題はなかったとした一方、社会的検証の必要性を指摘。幸山市長は年1回件数のみとしていた情報公開項目を性別や年齢、健康状態にまで拡大が可能か検討するとした。

 慈恵病院の相談電話には昨年11月から8月末まで255件寄せられ、うち約7割が県外からだったことも報告。幸山市長は「全国的対応が求められる」と強調した。

 専門部会は3カ月に1回の短期的検証。熊本県と熊本市は今後、遺棄の助長につながっていないかなどの中期的検証をする機関も発足させる。

 5月10日の運用開始からこれまでに預けられた子どもは8人とみられ、少なくともそのうち1人は親が引き取った。

=2007/10/26付 西日本新聞朝刊=