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妃殿下は何時も横顔2

続き3

もくもくと朝の仕込みを続ける旦那と私とバイトで来ている子供。
何時もと変わらない朝の忙しい風景でございます。
ええ、開けっ放しの入り口から警察官が見えようとも、開けっ放しの窓には別の警察官数人がかたまっていようとも、わたくしの車の横にも警察官が居ようとも、どんどこ歩く町民が居ようとも、朝の忙しさには関係御座いません。

役場と、その近くのお出迎えスポットと、次のスポットとの真ん中へんで、しかも角地で三叉路なので厳重な警備と重なる歩く町民で異様な雰囲気ではありますが、隣の旦那さんの孫をだっこさせてもらったり常連さん達とお話したりでの遅れを取り戻す為にひたすら働くわたくし達家族。もう数分で殿下もお通りになるだろうと思っていたら。
「どうしよう」←旦那
「何!」←忙しくて邪険なわたくし
「うどんが炊き上がる」←旦那
だから炊き上がらないと困るだろうが、お前は馬鹿かっっっ
との心の声を抑えて、「だから何」と答えるわたくし
「...釜のタイマーが鳴る」

.........
...........

うちの釜のタイマー音はかなり五月蝿い、ピーーーーーーーというまるで放送禁止の時の効果音がけたたましく鳴り響く。
厨房の釜のすぐ近くの窓の外は警察官、開けっ放しの店から聞こえるピー!!
もし車が通っている最中にピーーーーーーー!!!が鳴ったら....え?えっと....面白いじゃないか(大嘘)
「ま、窓をしめるだ(わし)」「やましくないから別にいいじゃん(子供)」「まあいまさらしょうがないよなー(旦那)」

まあ、実際かなりけたたましい「ピーーーー」鳴っても前を見続けていた警察官って素晴らしい(笑)音くらいで家族会議した私達って見苦しい(泣)
そんな事しているうちに窓の外から警察の人が「後一分でお見えになります」とわざわざ声をかけてくれました。
え−と、いや、うん、でも外にでちゃいけないのに如何しろと?
まあ、店の入り口からでも車が通る道路まで2メートルも無いから入り口からでもものすごく良く見えるしな。
入り口のたたき部分まで出る野次馬なわたくしと子供、朝の支度で忙しくてそれどころじゃ無い、というかあまり興味が無い旦那、こんな絶好な場所なのに。
子供は確実にわしの血は継いでいるけど旦那の血は引いてないな(ある意味問題)な事を思っているとゆーーっくりと通るSPの黒塗りの車続けて2台、さすがSP、店の入り口のこちらにも厳しい視線を走らせます。
その後ろに、皇太子殿下両妃殿下を乗せたお車が通りかかります。
わたくしの脳裏には、何時もワイドショーやら、女性週刊誌で見るにこやかにこちらに向かい手を振る妃殿下の麗しいお顔が脳内をぐるぐるしておりました。

「うそおおおおーーーーん、えええええええええ!!!」
わたくし、そのお車に乗っている妃殿下が過ぎた瞬間に思わず叫びながら店にの奥にかけこんでしまいました。

車道側に乗られていた妃殿下、運転席の後ろ、中央線側に乗っていた殿下。
お二人ともこちらを見てはおりません。
妃殿下のお口が動いていたので何か会話をなさっていたのでせうか...。
殿下は正面を真っ直ぐに見られておりました。
妃殿下は、ベージュのお召し物とベージュっぽいおカバンで御座います。
はい、何故おカバンがみえたのでしょうか。

妃殿下は、お膝をすこし高く上げる感じでその上におカバンをのせておりました。道路より店と入り口が一段高く、その様子が見えてしまいました。
そして妃殿下は.......

膝とカバンに肘を乗せて、下を向きながらお口を動かしております。
視線の先はお手、そしてお手にはコンパクトミラーがしっかり握られておりました。
下向きに鏡を見ながら、ほんのちょっとはすに構えた感じで眉毛(←思った以上に濃い目の色のアイブロウ)を上にあげる感じで鏡に映ったご自分の麗しいであろうお顔を見ながら、前髪を撫でておりました。

はい、わたくしの脳内の『にこやかにこちらに向かい手を振る妃殿下の麗しいお顔』は脆く崩れさりました。
いいえ、それでも妃殿下は麗しい....てか下向いていたから眉上げた横顔だけで正面みてないけど。
下向きに鏡をご覧になっている(しつこい)妃殿下のお鼻はとても高く、すこし明るい髪はつやつやとしてちょんまげのように(表現間違い)後ろで前髪を縛っておいででした。

店はお出迎えスポットと次のスポットの中間辺り、そして次のスポットを越えるとすぐに目的地。
きっと次のスポットで迎えている町民や、その先の目的地でお出迎えをする皆さんやマスコミの為に化粧と髪のチェックをなされていたのでしょう。
しかし、前のスポットから店まで数百メートル、次までもあまり距離が無いのに、車の中でささっとチェックなさるその動作と....大胆な膝と肘のご様子は皇室のお方というよりはキャリアウーマン?美しい自分をキープなさる努力はまるでモデル?

というか「皇室にいらっしゃる方のあるべき姿」と勝手に自分が思っていたのと違う、ある意味レアなお姿に叫んでしまった私も大概大げさなんだけど。

お出迎えスポット以外は人を配置しないように、との警察官の意図はこういう事か?町民を一箇所に集めていれば他の場所では気が抜けるから?とみょーな邪推をしてしまったり、スポットならきっとにこやかにお手を振ってくれたんだろうな、良いなぁ(いや別にそんなに羨ましくないが)などと思ったりした行きの様子で御座いました。
あー、王様の耳はロバの耳気分が後々味わえると思っても無かった。

まだ、続く....かも。

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