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アンケートでいただきましたご意見について

去る2000年12月18日、文化庁長官から認可を得ましたインタラクティブ配信の規定につきまして、先頃実施したアンケートでは、日頃MIDIファイルで音楽を楽しんでいただいております方々を中心に数多くのご意見をいただきました。また、いくつかのホームページや掲示板にてご意見が掲載されたことも承知しております。しかし、こうしたもののなかには、制度についてご存じないか、又は誤解に基づくものも相当数ありました。そこで、改めて著作権制度をご理解いただくため、音楽をホームページでご利用になる場合のさまざまなご質問等につきましてご説明申しあげます。

1. 自分で作ったMIDIデータの著作権は自分にあるのですよね。
 

違います。音楽の著作権というのはそれを創った人である作詞家や作曲家にある権利で、アーティストが演奏したり、CD化する前にすでに生まれているものです。CD化されたものと曲調の異なるMIDIデータを作ったからといってその著作権が移転するようなことはありません。ですから、MIDIデータをホームページにアップロードしようとすると、著作権者の許諾が必要、ということになるのです。
 どんなに労力をかけて、すばらしいMIDIデータを作られたとしても、その音楽を作詞、作曲した人があなたでなければ、あなたには著作権はないのです。

2. JASRACが著作権を預かっていない人の作品は自由に使えるのでしょう?

これも違います。著作権は音楽を作詞、作曲した時点でなんの手続も要せず誰にでも発生する権利です。これらの著作権のうち、JASRACが著作権を管理しているのは、JASRACと契約して、ご自分の権利の管理を一括して任せている人(「委託者」といいます)の分だけで、それ以外の人は自分自身で著作権を行使することになります。そうした個々の著作権者の方は、使用料をいくらにするかはもちろん、使わせるかどうかも自由に決めることができます。
 なお、著作権を預かっていないというより、著作権が消滅している人がいます。日本人の方でしたら死後50年を超えている方、外国の方でしたらその多くは死後60年を超えている方(戦時加算がある場合)は著作権が消滅しておりますので、MIDIデータとしてホームページに公開しても著作権者の許諾や使用料の支払は必要ありません。

3. JASRACが著作権を管理していても、著作者本人がいいと言えば使えるでしょう?
JASRACに著作権を預けている人は、そうはいきません。JASRACと委託者は信託契約という契約を締結しており、その約款では委託者が有する著作権及び今後取得するであろう著作権のすべてをJASRACに信託することを約束しています。JASRACはこの契約に基づいて、著作者に代わって著作権法に基づく権利を行使することになります。なぜなら音楽の著作権を管理する窓口は、ひとつの方が利用される方にとっても便利だからです。窓口が何カ所もあると、ご自分が一体どの窓口に並べば良いかを調べなければならなくなってしまいますよね。

現在JASRACに著作権を預けている方は、この約款をご承知の上、契約していただいておりますので、直接許諾ができないのです。
4. 非商用配信からは使用料を取らないで欲しいです。
今回使用料規定の認可を得たのは、JASRACに著作権を預けている委託者の方々の総意として、JASRACの定款に定めるプロセスに従い、著作権に関する仲介業務に関する法律の定めによって認可申請し、認可を得たものです。著作権を有する人は、著作権の内容となっている利用行為について、許諾の条件を定め、利用を許諾することができます。これが著作権です。この許諾を得なければ音楽を利用できないわけです。使用料のご負担をいただくのも、この条件の一つということになります。

音楽は、目には見えませんが、音楽を創った作詞家、作曲家等の財産です。人の財産は黙って使ってはいけませんよね。それと同じで、音楽も使うときはちゃんと持ち主に断って、持ち主の示す条件で使わなければなりません。それがMIDIであっても、MP3であっても、着信メロディであっても、音楽であることに違いはないのですから。
5. MIDIの非商用ホームページ掲載から使用料を取るなら、ストリート・パフォーマンスや学校の運動会からも使用料をとるべきではないでしょうか。
著作権と一言でいっても、中身はいくつかの権利に分かれています。例えば、インタラクティブ配信で働く複製権、公衆送信権、そしてその他に演奏権や貸与権などがあります。これらの権利に関わる利用行為をするときは、原則としてその許諾を得なければならないわけですが、すべての場合に権利行使ができるかというと、法律上、一定の条件を満たした場合には著作権が制限され、いちいち著作権者の許諾を得なくてもよいとされている場合があります。

例えば、ストリート・パフォーマンスや学校の運動会ですが、これは音楽を使えば原則として演奏権という権利が働きますが、次の3つの条件に同時に該当するときは著作権の行使が制限され許諾を得ずに演奏できます。それは、営利を目的としていないこと、入場料を取らないこと、出演者へ報酬が支払われていないことの3つです。(著作権法38条)

では、インターネットでの利用に関する権利をみてみましょう。まずサーバーへアップロードする際、複製権及び公衆送信権のうちの送信可能化という権利が関わってきます。さらに誰かがアクセスして、ダウンロードやストリーム形式で送信されていくと、公衆送信権が関わります。さらにダウンロード形式については、受信先でまた複製しますので、ここでも複製権が関わります。

著作権法では、その30条以下にその権利が制限される条件が定められていますが、インターネット上のMIDIデータの利用では、そのいずれにも該当しません。無償で配布する学園祭のチラシに著作物を掲載する場合や、や、出演者に報酬を支払う、学校の授業の一環としての音楽鑑賞教室でも著作権者の許諾が必要であるのと同じように、非商用配信でも使用料が必要となってくるのです。
6. 支払った使用料は一体どうなるのですか。
JASRACでは、定められた範囲内の手数料を除き、すべて実際に使われた委託者へ分配することになっています。  現在、非商用配信の場合の曲目報告の提出方法は検討中ですが、基本的には音楽をご利用になる皆様からの正確なご報告により、JASRACの分配が正確になる、という関係にあります。

なお、よく使用料の取扱いが不透明であるかのように思われているご意見をいただきますが、いただきました使用料はJASRACに著作権を預けている作詞家、作曲家、音楽出版社の大切な財産として、明細を付して個々に分配しておりますし、決算書等につきましては、JASRACを運営する委託者の厳しいチェックを受けています。ただ、個人財産に係わることですので、使用料の明細等の公開はしていないだけです。
7. 今回の規定案は一体誰が支払う規定なのですか?
一義的には送信可能化(つまりアップロード)をする人です。ダウンロードやストリームで音楽を聞いて楽しむ人に適用するものではありません。
8. 何故NMRCが個人利用についての使用料を決められるのですか?
個人の方がご利用になる場合に適用される規定については、NMRCは協議団体ではありません。個人の方の利用については、協議団体がないため、JASRACが委託者の意向をJASRAC内に設置された総合デジタル化対策委員会を通じてまとめて規定化し、法律や定款など所定の手続きに従って認可申請したものです。その内容は著作権審議会で適正かどうか審議され、今回は、個人の利用について、一般からのご要望も多かった10曲までの利用の場合、1曲毎の額を定めることが適当であるとの答申があり、その通り認可申請案は修正されて認可されました。
 また、当初4月1日からとしていた非商用配信の管理開始日も、周知期間を設ける趣旨から、7月1日からと改められました。
9. MIDIデータの配信はダウンロード形式ですか、ストリーム形式ですか?
ネットワーク上において音楽(MIDIデータ)を配信する方法については、技術的にはダウンロード方式による場合とストリーム方式による場合とがあります。この場合、受信した人がそれを再生して楽しむという結果的な目的は同様ですが、アップロードした人がどこまでの行為を行っているのかを考えると、法律的には異なります。つまり、ダウンロード形式の場合、受信者にダウンロードさせないと音楽が再生されないため、ダウンロードという複製行為もアップロードした人の行為と考えられます(そのダウンロードしたデータを私的使用の目的を超えて利用すれば、あらためてJASRACに申請していただくことになります。)。他方、ストリーム形式の場合、受信者がダウンロードしなくても音楽が再生できるため、アップロードした人は公衆送信までの行為を行ったものと考えられます。このようなことから、ダウンロード形式とストリーム形式を区別する必要があります。

しかし、MIDIデータについては、通常全てがダウンロードできてしまうため、単にページを開いたときBGMでならすためだけにアップロードする場合などの取扱いを整理しているところです。
MIDIデータ等で音楽を楽しんでいただいている方が、音楽文化の発展の担い手になっているという認識は十分持っておりますし、理解しております。ただ、楽しみだから好きなことができるとは限りません。遊園地に行っても、ただで乗り物には乗れないように、楽しみには対価が必要なものもあります。みなさまも、ご自分のお好きな作詞家、作曲家のためにも、著作権制度をご理解いただきますようよろしくお願い申しあげます。
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