2007年10月25日 週刊ダイヤモンド編集部
一年で一割下がったコメ暴落!
農家を切り捨てる?農協の「大罪」
農協におんぶにだっこで販路も規模も拡大してこなかった農家は大赤字。農協の言いなりにならず、規模拡大で生産コストを下げ、自前で販路を築いた大規模農家だけが生き残る。零細農家は泣くに泣けないだろう。
すでに茨城県など、一部の農協は農家向けに緊急融資制度をスタートしたといわれる。農林系統金融機関では、コメ暴落によって農家向け融資が一気に不良債権化するとの観測もある。
全国農業協同組合中央会(全中)は、政府にコメ暴落に伴う「緊急所得確保対策」を要求し、自民党の農業基本政策小委員会も、コメ価格維持のため、政府に備蓄米の追加購入を働きかけている。堂々とバラマキ農政の復活を掲げる民主党の存在もある。
しかし、よくよく考えてみれば、現在起こっていることは、コメ価格形成に市場原理を導入し、専業農家のインセンティブを高める農政改革の結果にすぎない。大きな痛みを伴うが、それは避けては通れない改革だ。
この改革方針を堅持するか、目先の選挙対策で元の木阿弥にしてしまうのか。政権の見識が問われる。歴史的役割を終えたことを自ら認めた全農も無傷ではすまされない。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 小出康成)
※週刊ダイヤモンド2007年10月27日号掲載分
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