「楽観的思考」をつかさどる脳領域を特定と 米英研究者ら
2007.10.28
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19:28
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- AP
ワシントン(AP) 将来の出来事についての楽観的な考え方は、脳のある部分と密接な関係にあるとの研究結果を、米ニューヨーク大の心理学者らがこのほど、英科学誌ネイチャー電子版で発表した。
同大のエリザベス・フェルプス氏は、英ロンドン大のタリ・シャロット氏との共同研究で、被験者15人が先のことを予測する際、脳内の血流がどう変化するかを、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で調べた。その結果、本人が楽観的な考え方をしている時ほど、脳の「前部帯状回吻側部(rACC)」と呼ばれる部分の活動が活発になることが明らかになったという。rACCは情動に関連する領域とされ、うつ病患者では血流が低下するとの研究報告もある。
人間は一般に、まだ起きていない出来事について楽観的な見方をする傾向があるとされる。フェルプス氏らの研究では、この傾向を裏付ける結果も報告された。結果が良くも悪くもなり得る将来の出来事80件を被験者に想像させたところ、悪い結果や中立的な結果を予測した人はほとんどいなかったという。たとえば、「髪を切りに行く」ことを想像する場合は、普段のカットでなく、「人生最高の髪型」にしてもらう場面を思い浮かべる人が多かった。
フェルプス氏は、「われわれの脳が楽観的傾向を備えているのは、概して良いことだといえる。逆に悲観的な見方しかできなかったら、何もやる気が起きないだろう」と指摘している。