医療崩壊問題も重要ですが、刑事弁護に対する無理解をこうも見せ付けられるともうちょっとその面でものを言わなければいけないみたい。

モトケンのNet相談室

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2007年10月28日

懲戒請求書テンプレート

 懲戒請求テンプレートサイトが目につきました。
 http://www.k3.dion.ne.jp/~sugiura/index5.html

 テンプレートの「請求の理由」は以下のとおりです。

被調査人は、1999年4月14日山口県光市における母子殺害事件の差し戻し審第1回公判において、
見ず知らずの女性を殺害後強姦したことを「死者を復活させる儀式」、
赤ん坊を床にたたきつけたのは「ままごと遊び」、赤ん坊の首をひもでしめあげたのは「謝罪のつもりのちょうちょ結び」等
科学的にも常識的にも到底理解できないし理解したくもない
主張を並べ立ててまで被害者を侮辱し死者の尊厳を傷つけています。
また、この差し戻し審において地裁高裁等では被告自身が認めていた殺意を上記のような非科学的、
非人道的な主張を行ってまで否定しようとしておりますが、これらの行為は、意図的に裁判の遅延を試みているとしか思えません。
これらの行動によって、被調査人は、日本における裁判制度と弁護人制度への信頼を傷つけ続けています。
あのように不誠実で醜悪な主張及び行動を繰り返す人間が弁護士としてふさわしいとは思えません。
以上の理由により私は、被調査人が上記控訴審においてとっている行動が弁護士法56条に定める所属弁護士会の秩序または信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行であると考えます。
よって弁護士法第57条、58条に基づき、請求の趣旨の通り求めます。

 このテンプレートによって懲戒請求した人がかなりいるのではないかと思われますが、
 さて、最高裁判例に照らしていかがなものでしょうか。

橋下懲戒請求扇動問題 | Comments [7]


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コメント

No.1 風の精霊 さんのコメント | 2007年10月28日 22:32 | CID 96902  (Top)

 こんなテンプレートもあります。


http://hikarimatome.my-php.net/index.php?%A5%C1%A5%E9%CE%A2

No.2 ひらの さんのコメント | 2007年10月28日 22:53 | CID 96906  (Top)

このサイト前々から気になっていました。

赤ん坊を床にたたきつけたのは「ままごと遊び」
これらの行為は、意図的に裁判の遅延を試みているとしか思えません。

 これらは客観的事実とも異なっていますし、異なることは容易にわかりそうなものですが・・・。また他の主張にしても懲戒事由になりそうもありません。最高裁判例に照らして調査・検討義務を尽くしているかと言われると到底その域に達していないと感じます。

 またテンプレ作成者はなぜか最高裁によって否定された原審の判断を根拠に業務妨害や名誉毀損の意図がない限り不法行為が成立しないとしています。この人のテンプレを使って懲戒請求した人は、この人の解説を読んで不法行為が成立しないと判断した人は・・・。大変お気の毒という他ありません。同情はしませんが。

 この方はテレビを見ていないとおっしゃってるので橋下弁護士に責任をおっ被せることもできそうにありません。このテンプレを使った懲戒請求の数にもよりますが、仮に弁護団側がこの人を相手に訴えを提起した場合責任を免れないのではないでしょうか。

No.3 MultiSync さんのコメント | 2007年10月28日 22:58 | CID 96922  (Top)

ふ〜ん、テンプレは感情的。

>No.1 風の精霊 さん
そのテンプレの最後は、

尚、この請求は〜、「凶悪犯罪の被告人への弁護活動そのもの」や「被告人の裁判を受ける権利」を侵害する意図はない〜

と、それ迄の「思いっきり弁護活動の中身に口出ししている」懲戒理由を否定してるけど。
それってば ジョーク?ww

No.4 ほし さんのコメント | 2007年10月28日 23:07 | CID 96932  (Top)

一般論として、法廷での主張内容によっては
「品位を失うべき非行」に該当する可能性は
あると思います。

今回の弁護団の主張がそれに該当するかどうかは
きちんと調べてないのでなんとも言えませんが、
そう考えて懲戒請求する人がいてもおかしくは
ないと思いますし、それが一律に不法行為になる
というのは納得いきません。

(ただ、弁護士がTVで煽動することについては
疑問を感じます。自分で懲戒請求すべきでしょう。)

No.5 万年下っ端プログラマ さんのコメント | 2007年10月28日 23:18 | CID 96939  (Top)

「理解したくもない主張」と言う一節を見て、椅子からずり落ちかけました。
色んな意味で。

No.6 モトケン さんのコメント | 2007年10月28日 23:21 | CID 96940  (Top)

>No.4 ほし さん

>一般論として、法廷での主張内容によっては「品位を失うべき非行」に該当する可能性はあると思います。

 具体的にはどんな場合でしょう?

 被告人の意思に反する主張は該当すると思いますが、それ以外にどのような場合が考えられるでしょうか?

No.7 一般人 さんのコメント | 2007年10月29日 02:28 | CID 97037  (Top)

あれれ?
一般人の懲戒請求が不法かどうか判断するのは誤解を招くから止めろって言ってなかったですかね。
予想していいならしますが、
・被害者の壮絶な苦しみに共感し端を発した
善意の懲戒請求だった。
・品位を失ったと認識したのは事実。
・注意義務を事前に知り得るのは不可能な状態だった。
・一般人の懲戒請求だった。
以上の事から不法行為だと判断される可能性は低いんじゃないですか?

最高裁の判例をよく持ち出すけど、
あれは何度読んでも本当に酷い。
まさに確信犯。
読んでると、あの執拗で悪質な懲戒請求者に
怒りさえ沸いてくる。
最後は裁判官から「弁護士から弁護士に懲戒請求する時は
よく考えろ馬鹿野郎」と説教までされている始末。

しかしあれでも不法行為かどうかの判断が
何度も揺れ動いてるぐらいの裁判。
一般市民の善意の懲戒請求に裁判所も容易に
不法行為と判断しないでしょう。
そんな事態になったらもはや誰も懲戒請求なんてやらないし、何より社会的な大非難が発生するでしょう。


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