●更新日 10/28●


山手線ジャックで大混乱、日本の治安は大丈夫?


2007年10月27日のニュースウォッチで紹介した、日本在住の外国人を中心とする、ハロウィンにちなんだ山手線ジャック計画。予想通り、現場は大混乱となったようだ。

ネット上では各所でこの話題が扱われ、実際に現場から中継したり、企画に抗議運動を展開したりする人々も見られた。JRや警察も動いたのだが、ほとんど効果なしで、山手線内は騒然となった模様。飲食や絶叫は当然の状況で、裸になって騒ぐ人、網棚の上によじ登る人なども続出した。

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また、電車内の蛍光灯が取り外され車内が停電となったり、各駅で乗降が妨げられてドアの開閉や発車がスムーズになされなかったりするなど、山手線の運行にも乱れが出た。

駅員が説得しようとしても無視され、一部では警察も来たが、取り締まりも不徹底で、電車のドアが閉まって無事に発車するのを見届けると、あっさりそのまま撤収してしまったようだ。このような事態に、「日本の治安維持は大丈夫なのか」、「ネタだろうと思ってJRや警察は油断しているのかもしれないが、参加者を装ったテロリストが混じっていたらどうするつもりだったのか」、「こんな情けない対応では、テロが起きたら東京はあっという間に壊滅してしまうのではないか」、といった多くの不安の声が出ている。そこで、JR東日本の駅員に話を聞いてみた。

――山手線ジャック計画については事前に知っていましたか。
「はい。これは過去にも行われていますから、多くの駅員が知っているはずです」
――では、事前に対応策等は考えてこなかったのですか。
「そんなことはありません。トラブルを最小限にするよう、努めてきたつもりです」
――ですが、過去の例を見ても、きちんと取り締まりもできていませんよね。
「私共としては、運行が極力乱れず、お客様に支障が出ないことを第一に考えております」
――混乱が生じることを回避する意味で、徹底した取り締まりこそが必要なのではないですか。
「そういう見方もあるかもしれません。参考にさせて頂きます」


このような事態を、専門家はどう見るのだろうか。コミュニケーション論を研究する社会学者に電話取材したところ、以下のようなコメントが寄せられた。

「偏見だと言われるかもしれませんが、電車やバスの中で、大声で話したり騒いだりしている人の多くが外国人ですよね。これは偏見ではないんですよ。そもそも、日本人と外国人、特に欧米人では、「公共」という概念についての理解が異なります。欧米文化では、社会に対する大きな損害が出ないなら、一部の人にとって多少は迷惑だったり不快だったりすることは許容されるという発想が昔からあります。それが個人の自由についての権利の一部だというわけです。そういう発想が当たり前の文化に育った人は、車内マナーについての意識も低くなりがちです。
逆に日本の場合、「世間が見ている」というように、他人との関係というものを常に意識する文化が続いてきました。ですが、最近の若者はそうでもないみたいですね。これもライフスタイルの欧米化であり、そういう若者は、今回のような企画にも肯定的なのでしょう。その一方で、企画に否定的な声が強いことも事実です。ですが、その人々が昔からの日本文化をそのまま継承しているかというと疑問です。2ちゃんねる等でオフ会に積極的に参加したり、「祭り」や「炎上」を楽しんだりする人たちも、今回の企画には批判的だったかもしれません。彼らなりの共同性や人間関係は、企画に肯定的だった若者とは違う視点に立つものと考えられるでしょう。
今回の件は、コミュニケーション・スタイルが二極化して、その違いによる摩擦が顕在化したものとして理解できるのではないかと思います。」

これを見て、読者のあなたはどのように感じただろうか。おそらく来年も同様の事態が起きると予想されるが、「公共」という社会の基本について考えさせられる騒動だった。



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