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2007年10月28日

 映画などのロケ地として茨城県が脚光を浴びている。県の支援によるロケ件数が、ここ五年で千件を超え、昨年は定番である横浜や神戸を抜き全国トップになった。東京から近く、重厚な外観の旧県庁舎をはじめ、田舎と都会の風景が共存しているのが人気のようだ

県が精力的に製作会社と地域の仲立ちをしている事情もあるが、それだけではない。ある町では廃校になった小学校の木造校舎が朽ちるのは忍びないと、住民が手入れを欠かさず、そのかいあって現在では校舎を使ったロケが月二、三回入るようになった

ロケを想定して手入れしていたわけではなく、地元に落ちるお金もそれほど多くない。が、打算を度外視したふるさと愛が映画人の琴線に触れ、思わぬ活性化につながったのだ

快調に撮影が進む映画「能登の花ヨメ」のロケは、スタッフと住民の中身の濃いふれあいも随所に見られる。能登へ里帰りした海老名香葉子さんが本紙に書いたように「何でそんなに優しいの」と言わせる情の深さがあるからだろう

茨城とまでいくまいが、心にしみる能登の人情と風景が、ロケを呼び、人を呼ぶ効果をもたらしてほしい。


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