[著作権] 親告罪の著作権法違反に親告罪の強姦罪を比喩として用いる
この議論は過去に2度ほどやったことなんだけど、毎回失敗している気がする。
いったいどうやったらうまく議論できるんだろうと、僕はいつも悩むのです。
うーん、本当に、どうしたらいいんだろう?
前提として、
強姦罪の親告罪って、訴えることで逆に被害者に負担をかけるなどの結果が予想されるので、被害者が選択できるようにするためのものなわけです。
他に親告罪があるものは、器物損壊罪とかで、これは頻繁に発生する上に被害が軽いのも多いんで、いちいち犯罪にしてらんねー、ということで親告罪になっています。
あとは家族間での窃盗とかは、その家の中で解決すべきという考えもある、ということから親告罪です。
で、著作権については前回書いた理由で親告罪です。
親告罪っていうのはイメージ的にはシステムというか分類の名前であって、その理由は様々なのですよ~
だから、著作権を強姦罪と同列に並べちゃうのは、議論をずらしちゃうから危険なんです。卑怯な比喩とかどうとかじゃなくてね。
同じ親告罪だからって並べちゃうと、えーと、例えば著作権じゃない話で言えば、
他人のペンを壊しちゃって、相手の人は別に怒らなかったんだけど(もしかしたら本当は怒っていたけど人間関係上の問題で「泣き寝入り」ってやつかもしれないけど)、横から別の人が「おい!器物損害だぞそれは!訴えられなかったけど強姦と一緒だろ、犯罪だぞ!」って言ってきたら何かおかしいじゃないですか?そういうことを言いたいわけなんですよー。
で、この後来るのは多分「違法行為」の定義なんだけど、僕としては著作権の場合、抗議を受けた段階で違法行為が成立すると考えるべきだと思っているわけなんです。
というのは、実情としてご存知のとおり、ある程度軽微な、もしくはファン活動などの利害が一致する活動については消極的許可という形で黙認の形をとっている企業がいっぱいあって、今までそれで多くの場合うまく行ってたっていう歴史があるわけなんですよ。
これが、もし黙認じゃなくて許可じゃなきゃ違法行為になる!となってしまうと、企業としてはファン活動を認めるためにその曖昧な線をはっきりさせなければならなくなって、これが結構大きな負担になると思うのですね。
今まで線をはっきりすることもできていたのに、しなかったのは、そのほうが企業にメリットがあったからなわけですが、そういうことができなくなる。
もちろんユーザー側には単純にデメリットだけが残る。
だからみんな不幸せになっちゃうわけなんです。
僕が前のエントリで書いた「状況からそれが行われたら何が起こるか?について考えるべきなんじゃないかな?」っていうのは、結局のところこういうことなんですよ。
潔癖な線で、おまえら犯罪者、これ違法行為、ってするんじゃなくて、どの場所にどのくらいぼやけた線が存在しているのが、一番みんなが幸せになるのか?について考えるのが現実的ではないでしょうか?
少なくとも「おまえら抗議されてないけど犯罪者だからな!」って言うことは、言った人の正義感を満たす以上にはあまり生み出すものが無いのでは、と。
あ、もちろんここはいろいろな考えがあるとは思いますけどね。
一般ユーザーに罪の意識を植え付けることが、著作者とコンテンツとユーザーの発展に繋がるという意見も面白そうですが。
本当はこういう人たちと実際に会って、違法とは何かとか、罪の意識とはどうあるべきか?について議論してお互いに理解を深めたりしたいのだけど
著作権法違反=親告罪なんて安直な物言いをする人を私はあまり信用していません
人格嫌われちゃったから、残念なことだけど、無理そう。
以下個別反論
自分に都合の良い結論に結びつきそうな行為だけを並べ立てることが、強姦という比喩を持ち出すこととどう違うのか理解できません
同じような理論だとして、何でその同じ理論を先に持ち出してきた人がそのことで僕を批判?と思うのだけど。
それはおいといて、
とりあえず僕が並び立てたことで言いたかったのは、著作権の侵害を全部犯罪扱いしていると、日常生活でこういうことに困るようになっちゃうでしょ?ということを言いたかったんですよ。
子供がキャラクターの絵を描くなんてそんなレアなケースの話じゃないでしょ?
それをいちいち強姦と一緒だ!とはしてられないじゃないですか。
実情として、発生率と被害と規模がぜんぜん違うわけですよ。
著作権法の罰則規定のうち、親告罪となっているのは一部だけです。例えば、著作者の死亡後に著作者人格権の侵害に相当する行為を行った場合や、引用などの際に出所を明示しなかった場合、著作者名を偽って複製物を頒布した場合などは非親告罪です。
そういうわけで、著作権法違反=親告罪なんて安直な物言いをする人を私はあまり信用していません。
著作権って著作者人格権と著作財産権があって、普通、単純に「著作権」と言うと著作財産権のほうを指すし、話の流れから意図はわかってもよさそうなものなんだけどなー。
著作権法の非親告罪化は「一律は不適当」 小委員会中間まとめ公開 - ITmedia News
適当に拾ってきたけど、たとえばこのニュースの「著作権法」っていうのは著作人格権の方は含んでいないよね?
というか文中に
著作権・出版権・著作隣接権、著作者・実演家人格権に対する侵害など、一般的に「著作権の侵害」と呼ばれる行為は
とまであって、一般的呼び方のお墨付き。
まあブログで書くときにいちいち「著作権(自動複製機器の提供、死後の人格的利益の侵害、技術的保護手段回避装置等の製造等、業として技術的保護手段の回避、著作者名を偽って著作物の複製物を頒布、出所明示の義務違反、を除く)」って書く人しか信用しないって言うのは個人の自由なので構わないとは思うのですけども。
僕が著作権と書いて、暗黙的に「死後の人格的利益の保護侵害、プロテクト外し装置・プログラムの公衆譲渡」というレアなケースでニコニコとは今あまり関係ない話への説明を省いた行為が、まるで一般に許容されないほどの適当なことを言ったかのように書かれるのはちょこっと心外なわけなのです。