韓国文化の底流に流れる「神気」と「文気」とは
1866年の丙寅洋擾(当時の韓国におけるキリスト教弾圧に対し、フランス艦隊が報復来襲した事件)当時、江華島を襲撃し外奎章閣の文書を略奪していったフランス海軍の一将校は、このように語っている。「ここでは感嘆する他ない。われわれの自尊心を傷つけるのは、どんなに貧しい家であっても、必ず本があるという事実だ」
梨花女子大の韓国学科教授で、宗教学者として20年余りの間韓国文化の源流を探索して来た著者は、韓国文化の底流に「神気」と「文気」があると主張している。今年始めに出版した『韓国人を踊らせよ』(四季節)で、彼は「神気」について述べた。ごく簡単に言うならば、儒教的人間であるように見える韓国人の基層に、実は呪術的な気運の「神気」が流れており、これはパンソリからレッドデビルまで、熱く自由奔放な気質として表れ出ているものだ。
それでは「文気」とは何なのか? それは、「洗練された韓国文化の気運」を指す。偉大な記録・遺産は、「神気」のように強い感情で作ることができるものではないのではないか? 著者は語る。「それは知性を用い、長い努力の末に生産されるものだ。こうした洗練された文化物が一つ二つくらいしか出て来なければ、やはり『偶然にそうなったな』ということになるだろうが、(洗練された文物が)大量に輩出されているため、極めて重要だと考えない訳にはいかない」
その(大量に輩出された洗練された文物の)中には、世界最初の金属活字で印刷された『直指心体要節』、世界最初の木版印刷本(そうではない可能性もあるが)『陀羅尼経』、近代以前において最も完璧な大蔵教である『高麗大蔵教』、世界最大の単一王朝歴史書『朝鮮王朝実録』、世界最大の歴史記録物たる『承政院日記』、そしてこうした「文気」の中でも白眉というべき『訓民正音』が存在している。
こうした背景から、本を読まないことで有名な21世紀の韓国でも、毎日のように出版社が生まれたりとてつもない分量の本が出版されたりする、珍しい現実も理解することができる。もともと強かった「文気」の文化的DNAが依然として流れている、というわけだ。近い将来「神気」と「文気」が融合する時、大いに活力に満ちた素晴らしい韓国文化が世界を驚かせることになるだろう、と著者は主張している。
兪碩在(ユ・ソクジェ)記者
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