国内初の遺伝子治療薬、血管潰瘍に効果 来春承認申請へ2007年10月28日 国内初の遺伝子治療薬の臨床試験(治験)結果を、重松宏・東京医大教授(血管外科)が、長野県松本市で27日まで開かれた日本脈管学会で発表した。対象は足の血管が詰まる病気で潰瘍(かいよう)ができた重症患者ら。潰瘍が縮小したり、痛みが和らいだりする効果がみられた。薬と直接関係する大きな副作用はなかったという。メーカー側はさらに安全性を調べ、来春、承認申請する方針。 足の血管が詰まる病気は糖尿病の増加などにつれて多くなり、足の切断を余儀なくされる人は年に1万人以上とされる。虚血性心疾患など、動脈硬化に伴う血管の病気も増える傾向で、これらにも効果が期待される。 この薬は、肝細胞増殖因子(HGF)という血管新生を導くたんぱく質の遺伝子を用いる。遺伝子のDNAを、ウイルスのDNAの一部などを流用してつなぎ合わせ、プラスミドというリング状のものにした。筋肉注射すると、筋肉内で遺伝子が働き始めて新たな血管作りを促す仕組み。患者のDNA本体に組み込まれることはないとみられる。 発表されたのは3段階ある治験の最終的な試験結果。4週間の間隔をあけて2回注射し8週間後の様子をみた。57施設が参加した。 閉塞(へいそく)性動脈硬化症では、この薬と、同じ形状でDNAの入っていないもので効果を比べた。薬を使った27人のうち潰瘍のあった11人全員が改善。平均すると潰瘍は75%以上小さくなった。痛みも16人中8人で和らいだ。
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