“期待の星”は輝く救世主になるのか。
サッポロビールが国産ホップの新種を開発した。実に12年ぶりのことだ。「フラノスペシャル」と名づけられたこの新種は、香りの良い「アロマホップ」と苦味が強い「ビターホップ」の特徴を併せ持つ。そのうえ、香りと苦味の成分がともに従来品の2倍含まれる。つまり、現行ホップの半分の量で苦味と香りを十分に引き出せるわけで、原料費の削減にもつながる経済的な新種なのだ。サッポロの北海道原料研究センターでは、「主力銘柄として使えるめどが立った」と期待を膨らませている。
総出荷量の減少が続くビール業界の中で、サッポロの立ち位置は微妙だ。
「1、2位のアサヒ、キリンが37%台で激しいシェア争いを繰り広げる中、サッポロは12%台と大きく引き離され、万年3位。そこへ『ザ・プレミアム・モルツ』が好調なサントリーが猛追を見せていて、07年1〜9月で11%台と過去最高まで迫ってきた。サントリーにとって3位は悲願。サッポロはうかうかしていられません」(専門紙記者)
もちろんサッポロだって、高級ビールの「ヱビス」は好調。だが一方で、“ヱビス頼み”からの脱却が課題でもある。
「もともとサッポロは、ホップ生産に熱心な会社で、これまでも品質の良さをアピールしてきた。経済的な新種のホップで安価な新商品や特色のある新商品が出てくれば面白い」(前出の専門紙記者)
低価格商品を作るため、ビール会社は世界中から安いホップを探してくるのだという。だが、天候不順による不作などで海外産は高騰。新ホップの生産量が増えれば、他社への販売の可能性も出てくる。
明るい未来がアピールできれば、ライバル他社だけでなく、親会社のサッポロホールディングス買収を狙うスティールをもギャフンと言わせられるのだろうが……。
【2007年10月24日掲載記事】