【ワシントン=有元隆志】ゲーツ米国防長官は来月7日から日本、韓国、中国の3カ国を歴訪することが26日までに固まった。日米関係筋によると、日本訪問は3カ国のなかで最後になるという。インド洋での海上自衛隊の給油支援活動の中断がほぼ確定しているほか、在日米軍の再編が進まないなど、中国や韓国と比べ懸案が山積するなか、「日本に努力を促すためのシグナル」(同筋)ともいえそうだ。
ゲーツ長官の訪日は昨年12月の就任以来初めて。国防総省筋は「長官の具体的な日程については出発するまで発表できない」としている。
日米間では給油継続問題に加え、在日米軍再編問題、来年3月末に期限が切れる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)問題などがある。しかし、守屋武昌前防衛事務次官と専門商社元幹部との不適切な関係、海上自衛隊の給油量訂正問題も重なり、日本側は国内の対応に追われている状態だ。
同筋は「最も良好なはずの日米同盟が危うい状況にあることを認識すべき」と指摘する。
米中間では、このほど終了した中国共産党大会で軍を統括する中央軍事委員会が再編されたことを受け、米中軍事交流や安保対話を加速する狙いがある。西太平洋で中国の軍事活動が活発化するのを踏まえ、軍事費や戦略の透明化、台湾問題も取り上げられる見通し。
日米関係では、沖縄の普天間飛行場の移設をめぐり協議が難航するなど、2005年10月にアジア歴訪したラムズフェルド前国防長官が訪日を見送り、米政府内のいらだちを示したと言われた。
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