おしゃべりなマダム

が、苦手だ・・。
私の母は、美容室でしかシャンプーをしない人で、週に２．３回は美容室へ行っていた。
町内に馴染みの店があったからだろうが。

私は、学生時代に水泳をやっていたので、引退するまではショートだった。
引退したら反動でロングだったが、ここ数年は担当の美容師さんが故郷へ引き上げた事もあり
私の頭はボヘミアン状態だ。

おしゃべりなくせに、慣れない美容師さん相手に気を遣い、しゃべり過ぎて疲れてしまう。
イメージと違う出来栄えにガッカリして帰る事も度々。そして、せっかちな私には時間がかかりすぎる。
だから、数年前から美容室へ行っていない。

すきバサミ、鋏、レザーを買い揃え、自分で切っている。失敗しても自分でやった事なので腹も立たない。
自分でカットした髪なのに、街角で写真を撮られて、高級雑誌にも一昨年は載った。
その時はロングのシャギーだったが、寝癖の跳ね具合がアクセントになって記者さんは大絶賛してくれた。
でも、自分で切ったとか、寝癖とは言えなかったので、セレブ風に雑誌に載ってる有名な美容室を挙げた。記者さんは自分も行くと言った。

後日、自分が載っている雑誌を見て、もしかして第２の人生は美容師としてやれるんじゃあないかと本気で思った。
そんなに世の中、甘いもんじゃあない事くらい承知している。

そして何より、るーきーのカット代がバカにならないので、私がやったら虎刈りになった・・。
暫くはルーキーが外に出るのを嫌がっていたので、犬にもプライドがあることを実感した。そして美容師は諦めた。

昨年末からボブにしていたが、飽きて来たので、前下がりショートボブに今日切った。
中々の出来栄えだ。
いい女風に見える。素晴らしい！誰も言ってくれないので自画自賛している・・。

昨日は、久々にいつもの公園にルーキーのお友達が勢揃いした。勢揃いと言っても道すがら、全犬と会ったのだが・・。

太郎ちゃんとは同行して、チェリーちゃんに始まり、きなこチャン、白玉君、アンコちゃん、杏ちゃん、
ピーナッツ君、最後にキョーシロー君。

ちなみに、アンコちゃんはボルゾイだ・・。
私が食いしん坊だからなのか、食べ物の名前ばかりの、お友達犬が多い。
当のルーキーは、会えてうれしいが、遊びはしない。満足そうに眺めている。
だからなのか、最近では「るーきー」と呼ばずに、「じいちゃん」と呼ばれる。いつまでも「新人」であるように、「るーきー」と付けたのに・・。

事なかれ主義のるーきーは、「じいちゃん」と呼ばれてシッポを振る。

「こらこらルーキー、年寄りの威厳を見せて怒りなさい」と、監督夫人は言う。
あのね、貴女が一番に言い出した言いだしっぺよ、監督夫人！

動物も人間と同じで、齢を取ってからも、沢山の人や犬と触れ合うと刺激になって若くいられると聞く。

欧米では、動物虐待には厳しいが、老衰や病気で起こる様々な動物にとっての苦痛は、迷わず安楽死を選択すると聞いた。

いさぎ悪い私としては、るーきーと心中したい心境だ。
本当に手のかからない、聞き分けの良い隠居犬だが、とにかく穏やかに過せたらと願うのみだ。