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米軍基地移転:今度は地元建設業界の反対で暗礁に(下)

◆噂を聞きつけ集まってきたが…

 建設業者は「平沢に行けばすぐに大金を稼げる」という噂を聞きつけて平沢市に押し寄せているが、実際にはそのようなことはない。政府が発表した18兆8000億ウォンの補助金のうち、政府の予算は5兆1104億ウォン(約6411億4432万円)で、そのうち国費が4兆4000億ウォン(約5520億1844万円)、地方費が7104億ウォン(約891億2589万円)となっている。残りの補助金は民間への投資や土地公社・住宅公社などによる工事の予算であり、平沢市の建設業者を対象として発注される工事ではない。政府の予算で発注する数百億ウォン台の大規模な工事も、ソウルに拠点を置く大手建設会社が請け負う公算が大きい。また在韓米軍が発注する工事は、FED(Far East District=米陸軍極東工兵団)に登録された大手建設会社のみが入札に参加できる。平沢市の建設会社の中で、FEDに登録しているのは「国道総合建設」だけだ。

 平沢市韓米協力課のソン・ジョンピョ課長は「平沢に集まってくる業者は、施工額が50億ウォン(約6億2729万円)にも満たない規模の業者がほとんどで、大規模な工事を単独で受注する能力もない。農村部で道路や上下水道を敷設する工事を望んでいるようだが、ただ噂を聞きつけてよその地域から集まってくるため、こんな状態になった」と話す。同市で地元の建設業者が入札できる工事費50億ウォン未満の工事は、2015年までに工事費基準で計400億ウォン(約50億1835万円)程度に過ぎないとみられる。これは今後8年間で、804社の建設業者が5000万ウォン(約627万円)ずつ受注しなければならない計算だ。国道総合建設のキム・ソンニョル会長は「地元の業者が工事を受注してこそ、地元にお金が落ち、地域経済にとってプラスになるのに、今のような状況ではよそ者の業者による“お祭り”だ」と話している。

◆「平沢支援特別法」施行令改正を前に大騒動

 このような状況下で、平沢市と国防部は今年7月、「在韓米軍基地移転に関する平沢支援特別法」の施行令改正案をまとめた。この改正案では、地元の建設業者を保護するため、工事費50億ウォン未満の工事にあたっては、地元の業者に限定した入札を行うこととし、そのための適格審査では、地元で5年以上の実績を持つ業者に3点、4年以上5年未満の業者には2.4点、3年以上4年未満には1.8点、2年以上3年未満には1.2点、2年未満の業者には0.6の加算点をつけるという内容が盛り込まれている。だが、これに対し行政自治部や財政経済部、建設交通部などは「公平性に欠ける」という理由で反対している。また、大規模な迷惑施設を受け入れる自治体ごとに特別法を制定してメリットを与える前例を作ることになるというのも、各省庁が反対する理由だ。

 これに対し、宋明鎬(ソン・ミョンホ)平沢市長は「公平性の問題をうんぬんするのなら、米軍基地も平沢に集中させるのではなく、全国の自治体に造ってしかるべきではないか」と反論した。また、大韓建設協会京畿道支部平沢市協議会のチョ・ソンボム会長は「近日中に建設業界の代表者と市民団体、市議会議員らが協力し、強硬な対応策を打ち出す方針だ。施行令が原案通り可決されなければ、武装してソウルに乗り込むしかない」と話している。昨年は米軍基地移転に反対するデモ隊と警察が衝突した「大秋里事件」で生みの苦しみを味わった米軍基地移転事業が、今度は地元の建設業界の反発で壁にぶち当たることになったというわけだ。

平沢=李錫雨(イ・ソクウ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報JNS
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