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研修医確保に躍起 県内病院

2007年10月27日

研修医確保に躍起 県内病院

 医大生らの希望に基づいて来春からの臨床研修先病院を決める「マッチング」で、定員に満たなかった県内の病院が相次いで二次募集に踏み切っている。当初、十五病院が計百十七人を募ったのに対し集まったのは五十人で、充足率は42・7パーセントと全国ワースト二位。米国研修を盛り込むなど研修内容見直しを進める病院もある。医師不足の中、研修医は貴重な戦力となるだけに関係者は人材確保に懸命だ。

 富山市民病院(富山市今泉北部町、泉良平院長)は十人募集したが、結果はゼロ。「正直、寂しかった。学生の認知度が低いためだろう」と院長。臨床研修制度が導入された十六年度から毎年募集しているが、これまでに確保できたのは三人だけだ。

 特色を打ち出そうと同病院は今月十日、米国・デューク大学と協定を締結。来年から研修医を同大に一カ月間、研修医を派遣する。今後、積極的にアピールし、二次募集や来年のマッチングでの成果を期待する。

 県立中央病院(同市西長江、飯田博行院長)は十人募集し、決まったのは九人。マッチングの定員に満たなかったのは初めてだ。すぐに追加募集を決めた。

 同病院は県内で最も人気が高い研修病院で、毎年二十−三十人希望者がいたが、今年は十三人にとどまった。臨床研修管理委員長の薮下和久外科部長は「大学病院との競合の結果だろう」と分析し、「指導体制や勤務の見直しなど改善を図る」と語る。

 富山大付属病院(同市杉谷、小林正院長)は各研修医が将来希望する診療科を重点的に学べるように研修プログラム内容を変えて五十人を募集したが、決まったのは二十七人。ただ、昨年より三人増え、臨床研修センター長の山城清二教授は「減少に歯止めをかけるという最低限の目標はクリアできたが、三十人には達しなかった」と複雑な表情を見せた。再募集を始め、プログラムをさらに見直すとしている。

 同病院には、医師臨床研修制度が導入される前は毎年、四十人前後の若手医師が採用され、地域の公的病院へ医師を派遣する役割を果たしてきた。山城教授は「大学病院の研修医が今後、急増することはないだろう。各病院で医師を育てる必要がある」と指摘する。

 県内で唯一、定員を満たしたのが黒部市民病院(黒部市三日市、新居隆院長)だった。十六年度採用の研修医第一期生から米国での研修を実施するなど魅力的なプログラムを用意し、マッチング充足率は十七年を除き100パーセントを達成している。

 臨床研修センター所長の広田悟志医療局長は「病院全体で研修医を集め、育てようという熱意がある」と強調する。研修医と毎週、ミーティングを開き、ニーズを把握し、改善を図っている。

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