救急搬送された妊産婦が医療機関を「たらい回し」にされていた実態が明らかとなった総務省消防庁と厚生労働省による全国調査。県内では二〇〇四-〇六年の三年間に医療機関から受け入れを二回以上拒否された件数は全体の3・5%の百九十六件に上った。(山路 進)
県によると、県内でも全国の傾向と同様、拒否回数の多さは都市部を中心に目立つという。県内で拒否回数が最多だったのは九回で、〇六年に二件、〇五年に一件。〇五年のケースでは、ベッドが満床、手術スタッフが揃(そろ)わない-などの理由で受け入れを断られ、救急出動要請から病院到着までに二時間五分を要していた。
〇四-〇六年の三年間の受け入れ拒否の理由は、専門外22・7%▽手術中や患者に対応中15・5%▽設備などがない、手術スタッフが揃わない14・2%-などだった。
このため、消防庁が、救急車の現場到着時から受け入れ先医療機関決定までの目安とする三十分を超えたケースが、〇六年四十四件、〇五年三十九件、〇四年は二十五件。〇六年には二時間近くかかったケースが一件あった。
県では、妊産婦の救急患者に対応するため、二〇〇一年から県立こども病院(神戸市須磨区)を拠点に、医師不足などの問題を抱える丹波地域を除く県内六地域の計十病院で、産科医と小児科医の二十四時間常駐体制を整備。昨年六月からは十病院に加え、県内の産科、小児科の医療機関の空床状況を集約、救急隊が確認できるシステムも導入しているという。
県医務課は「九回の拒否回数は問題。さらに医療機関と消防、他府県との連携を進めたい」としている。