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遠紋圏域地域ケア体制検討委、療養病床の再編に、戸惑いの声
(10月26日付け)
国が療養病床を削減する方針を打ち出していることを受けて、遠紋地区の療養病床を再編成し、高齢者の状態に即した適切な医療・介護サービスを提供する体制を整備しようと自治体や病院など関係機関の代表らでつくる「遠紋圏域地域ケア体制整備・療養病床再編検討委員会」が24日、紋別保健所で開催された。道は年内にも道全体の構想をまとめる予定で、これに先立って遠紋圏域も11月下旬を目途に構想をまとめることが求められているが、スケジュールに余裕がなく、国の方針も依然、不透明な部分が多いため、病院関係者からは「病院経営の問題にも係わってくる問題だが、国がどう考えているのか分からない部分も多い」として今後の展開を不安視する声も出た。
療養病床は、急性期の患者を扱う一般病床とは区分が異なる病床で、主に高齢者が長期の療養のため入院するベッドのことを言う。一般病床に比べて、医療サービスの必要性が低いとされ、医師による治療がほとんど必要ないのに家庭の事情や介護施設が見つからないといった理由で利用する人が多いと言われる。こうした実態から「社会的入院」とも呼ばれ、国は昨年春に、療養病床に対する診療報酬を引き下げたが、医療機関側では病院経営が成り立たないとして、療養病床を閉鎖したり、一般病床に転換する動きも出ている。
療養病床は全国に38万床あり、@医療保険が適用される「医療型」25万床とA介護保険が適用される「介護型」13万床に区分される。
国の打ち出している方針では、平成24年3月末までに@の医療型療養病床を15万床に削減し、Aの介護型療養病床を全廃しようとしている。医療サービスの必要性の低い患者を、医療コストの安い介護施設や在宅に移し、医療費を抑制するのが狙いだ。
削減されれば、当然、行き先を失った介護難民が出ることが予想されるが、その受け皿としては老人保健施設や、ケアハウスなどの医師・看護師の配置基準の少ない介護中心の施設、在宅での介護などが想定されている。
遠紋地区の療養病床をもつ医療機関は15施設あり、病床数は599床。このうち医療型療養病床が585床とほとんどをしめていて、介護型療養病床は14床となっている。
(24日に開催された療養病床再編の検討委=写真=)
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