悲惨な「F1日本グランプリ」 (上) からのつづき
バイト運営スタッフが衝撃告白! 駅と会場を結ぶシャトルバスの誘導をしていたスタッフ、KHさん(男性)に話を聞くことができた。 F1日本グランプリ = 9月30日 (ロイター) 雨が降り出したので、ポンチョが支給されました。ちょっと動いただけで破けてしまい、ポンチョをテープでツギハギだらけにして頑張りましたが、 結局びしょ濡れになりました。予備もなく、翌日も雨が降る場合は、引き続き同じものを使わないといけないといわれ、『明日朝までに“使える”ポンチョを用意しないとスタッフを現場には出せない。スタッフの体調管理ができない』と、ディレクターが本部に抗議していました」 バスはボイコット、「逃げろ」指示も ほかにもKHさん(仮名)は、当時の様子を語る。 「一部のバス運転手さん達はボイコットして帰ったようです。お客さんにキレられても、運転手さん達に情報が来ないから対応できないし、規定の13時間以上の労働を強いられた挙句、休憩も取れない。 待機場に寄ることができても、用意されているハズの弁当も無い。サーキット内の運営スタッフには、お客様の不満がピークのため、 暴動に巻き込まれないようユニフォームを脱ぐ指示が出たようです。ポジションによっては『逃げろ』とも……。 富士スピードウェイやトヨタにも主催者責任があるけれど、 諸悪の根源はJTBと、JTBがマル投げしているジェイコム。 特に輸送部門の責任者達にあると思います。そして、お客様に対応するのは現場で前面に出るスタッフ。 そのスタッフにまともに情報を流さないし、指示もロクに出ない。収拾のつかない現場。事態を想定していなかった本部は判断することが出来ず後手後手の対応でした。 最終的に22時頃にはようやくお客様をほぼサーキットから送り出せたが、みんな疲労困憊。ところが、待てど暮らせど迎えのバスが来ない。噂では、スタッフ輸送のバスも前日の余波でボイコットしていたようで、別のバスを手配され、雨の中2時間待ちでした」 スタッフも、当初の計画より減らされ、雨の中相当な仕事量だったにちがいない。ずさんな運営の被害者は、観客のみならず、スタッフやバスの運転手にまで及んでいたと言うわけだ。結局、儲かったのは、JTBとトヨタ自動車だけということだろうか。 「世界一」のF1日本グランプリへ 大会前、ジェイコム担当者は現場スタッフに対し、「『世界一の』自動車メーカー、トヨタが主催し、『世界一の』旅行会社JTBが交通輸送を担当する『世 界一の』イベントF1。来場されるお客様に『世界一の』おもてなしをして 楽しい思い出を持って帰っていただくのが私たちの仕事です」と語ったそうだが、私には、「世界一の」自動車メーカーと旅行会社による、「世界一の」大失態だったと思えてならない。 10月1日、富士スピードウェイのホームページにお詫びが掲載された。 10月1日、富士スピードウェイはホームページ上に、「F1日本グランプリご来場の皆様へ」というお詫び文を掲載されていたが、再発防止に努めるというが、まったく反省の 念を感じ取ることができない。ジェイコム関係者によれば、「クレームが700件ほど入っていて、電話回線は増やしているのだが、1人対応するのに1時間程度か かっていて電話が通じない状況が数日続いた」らしい。 今回、取材した方の中には、「今後の運営の改善につながれば」と取材に協力してくれた方もいる。富士スピードウェイやトヨタ、JTBは、問題を改善し、 ファンがまた行きたいと思えるような大会にしなければ、ファンの足は確実に遠のくに違いない。 来年こそは、「『世界一』のF1日本グランプリ」になること を切に望む。
総合58点(計29人)
※評価結果は定期的に反映されます。
|