韓国政府の「過去事件の真相究明委員会」は24日、1973年8月に韓国の野党指導者だった金大中氏が東京都内のホテルから拉致された「金大中事件」について、情報機関である国家情報院の前身の韓国中央情報部(KCIA)の組織的犯行だったとする報告書を公表する。
韓国政府が同事件への政府機関の関与を初めて公式に認める形。日韓両国はかつて韓国の公権力の介在が確認できないことを前提に二度の「政治決着」を図ったが、前提が崩れることになる。
委員会は金大中事件や1987年の大韓航空機爆破事件など計7事件に対する調査結果を公表。
韓国政府筋によると、委員会は、金大中事件が李厚洛KCIA部長(当時)の指示の下、KCIA要員だけで20数人が拉致に関与した組織的犯行だったと認定。一方で焦点だった朴正煕大統領(同)の指示の有無や、拉致が殺人目的だったかどうかは確認できなかったという。
同筋によると、犯行に加担した元要員が調査に対し、拉致実行前にKCIA内で金氏殺害や拉致を日本の暴力団に依頼することも検討されたと証言した。(共同)
委員会は盧武鉉政権が進める「過去清算」で歴代政権下の人権弾圧事件を調べるため二〇〇四年十一月に発足。ほかに朴政権下で民主化運動が弾圧された「民青学連事件」(一九七四年)なども調査対象になった。金大中事件を除く六事件は既に調査結果の大部分が公表されている。
毎日新聞 2007年10月24日 8時27分 (最終更新時間 10月24日 8時28分)