【ワシントン=山本秀也】約90年前のアルメニア人大虐殺をめぐる米下院の非難決議案について、提案者のシフ下院議員(民主党)は25日、ペロシ下院議長に書簡を送り、下院本会議での採決を延期するよう要請した。決議案に対するトルコの激しい反発を受け、同党内でも決議案に否定的な声が高まったことを踏まえ、現状での本会議採択は事実上難しいとの判断を固めたかたちだ。
シフ議員ら民主党の4下院議員は、連名の書簡で、「多くの同僚議員が決議案の支持を望んでいる」と述べる一方、「より適切なタイミングが望ましい」と指摘。下院本会議での採決を「今年末か来年」に持ち越すようペロシ議長に要請した。
ペロシ議長の報道担当は、「議員の判断を尊重する」としており、下院本会議での早期採決は見送りの公算が大きくなった。
決議案については、ライス国務長官が23日の下院公聴会で、「わが軍への支援で特別に重要な役割を担う民主陣営の同盟国との関係を大きく損なう」と証言していた。民主党内でも、ペロシ議長に近いマーサ議員ら党内有力者が決議案への反対姿勢を表明するなど、逆風が強まっていた。
オスマン・トルコ帝国によるアルメニア人大虐殺を非難する決議案は、今月10日に賛成27、反対21の小差で下院外交委員会(ラントス委員長)で採決され、本会議での審議待ちとなっていた。
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