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沖縄戦集団自決:「政治で記述変わった」 専門家 教科書検定に不信感 沖縄知事が上京

 太平洋戦争末期の沖縄戦で起きた住民の集団自決をめぐる教科書検定で、約11万人が参加した先月29日の沖縄県民大会を受け、文部科学省が日本軍の強制性に関する記述の見直しを決め、複数の教科書会社が「訂正申請」への検討を始めるなど、動きが急になってきた。県民大会の実行委員と仲井真弘多知事は2日夜、検定意見の撤回を求めるため上京した。3日午前、渡海紀三朗文科相と町村信孝官房長官らに要請する。

 県民大会実行委員長の仲里利信・県議会議長ら実行委のメンバー13人は2日午後7時15分ごろ、那覇空港で要請団の出発式を開いた。仲里委員長は「県民大会の成功でここまで来られた。検定意見の撤回はもちろん、今後二度と教科書の書き換えがないよう求めていきたい」とあいさつした。

 一方、県民大会後、文科省が集団自決を巡って日本軍の強制性が削除された検定の見直しに向けて動き出したことについて、専門家からは教科書検定制度のあり方を問う声も上がっている。

 沖縄戦に詳しい吉浜忍・沖縄国際大教授(沖縄近現代史)は「検定見直しは評価できる」としながらも「そもそも、文科省の調査官が沖縄戦についてきちんと調査していれば、このようなことにはならなかった。なぜ(日本軍の強制性を趣旨とする記述が)削除されたのか、沖縄戦を日本近現代史の中でどう位置づけているのか、検定制度を含めて根本から議論する必要がある」と話した。

 教育評論家の尾木直樹氏も文科省の方針転換を「当然」としつつ、「教育が政治に振り回されている」と危機感を募らせる。

 先月29日の県民大会で約11万人が集まってほどなく示された文科省の方針転換に「参議院での力関係が変わったこともあるだろうが、時の政治のせいで1年や2年刻みで教科書が変わってしまうのか。そもそも教育は政治から独立、自立していなければならず、教科書の記述がころころ変わることはあってはならない」と話した。

 また、教科書検定を実施していない北欧諸国を例に挙げ「現場の教師は事実をしっかり教えようと頑張っているし、教科書会社もいい教科書を作ろうと取り組んでいる」とし、「検定された教科書に従い教育を進める我が国の教師は政府のロボットになってしまう。検定制度は廃止すべきだ」と語った。【三森輝久、松本光央】

 2007年10月3日

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