山陰沖の日韓暫定水域、排他的経済水域(EEZ)で韓国漁船の密漁が後を絶たない問題で、山田修路水産庁長官は二十五日、東京を拠点に活動している同庁直轄の取締船一隻を来年度以降、境港(鳥取県境港市)に回す意向を明らかにした。本年度末で期限が切れる国の漁業者対策基金事業については、財務省に継続を求めていく。
鳥取、島根、兵庫三県の自民党国会議員、知事、漁業団体代表らが出席して同日都内で開かれた「日韓漁業問題懇談会」で説明した。
境港に常駐している取締船は現在四隻で、いずれも民間からの借り上げ船。乗員すべてが水産庁職員の「官船」を新たに投入することで監視体制を強化する。配備に向けては、船着場や給水・配電施設の整備から取り掛かる。
また、水産庁は韓国漁船の密漁が活発化する来月から来年五月を境港を拠点とする「重点取締期間」に位置付け、応援船を含む取締船を年内に最大十二隻配備する。
韓国漁船による不法投棄漁具の回収費や漁業者の共済掛け金の補助に充てられている基金事業(本年度末残額約四十五億円)について、山田長官は「実施期間を延長したい」と述べ、拡充枠の検討も含めて財務省と折衝する。
鳥取県漁協の伊藤美都夫組合長や兵庫県機船底曳網漁業協会の吉岡修一会長は懇談会で、漁業秩序の回復に政府が責任を持って取り組むよう要請。鳥取県の平井伸治知事は「漁業者が安心できる状況をつくってほしい」と国による解決を強く求めた。