山口県光市で99年に母子を殺害したとして、殺人や強姦(ごうかん)致死罪などに問われた当時18歳の元少年(26)の差し戻し控訴審は18日、広島高裁(楢崎康英裁判長)で検察側の最終弁論があった。検察側は「被告の弁解は言い逃れで、反省どころか被害者を冒〓(ぼうとく)している」などとして、改めて死刑を求めた。元少年はじっと検察官を見つめたまま聴き入った。
検察側は、差し戻し審での新たな供述について「弁護側の法医、精神鑑定に合わせ供述を変遷させたのは明らかで、事実を捏造(ねつぞう)、歪曲(わいきょく)した虚構だ」などと不合理な弁解を指摘。弥生さん殺害に関し元少年が「抵抗されたので右手の逆手で押さえようとしたら、首を絞めてしまっていた」などと殺意を否定した点については、検察側の法医鑑定を基に「右手の逆手では力が入らず、現実的にあり得ない。遺体の所見とも一致しない」と反論した。
強姦の計画性については「弥生さんが(自殺した)実母と重なり甘えたくて抱きついた。姦淫(かんいん)は生き返らせるため」とする弁護側の主張に対し、「唐突で、荒唐無稽(こうとうむけい)のこじつけ」と切り捨てた。【安部拓輝、大沢瑞季、井上梢】
毎日新聞 2007年10月19日 西部朝刊