◇「本当のことを話すというのは、検事の言うことを認めて、サインすることと言われた」
広島高裁(楢崎康英裁判長)で18日にあった山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審集中審理で、弁護側による元少年への被告人質問は次の通り。
--(当初)強姦(ごうかん)目的でないと言っていた。
検事に「強姦目的でないと言い張るなら、死刑の公算が高まってしまう。君に死んでほしくない」と言われ、涙を流して調書にサインをした。
--検事から本当のことを話すようにと言われてますね。
本当のことを話すというのは、検事の言うことを認めて、サインすることと言われた。
--傷害致死と殺人の違いは。
言葉自体、知らなかった。結果的に人を殺してしまったことを当時は殺人と思っていた。
--右手で弥生さんの首を絞め続けたという調書が取られたのは。
片手が首にあったとは言ったが、押さえて死に至らしめたことが理解してもらえず、首を絞めたとなった。
--夕夏ちゃんについては。
赤ちゃんを落としてしまったから亡くなったと思っていた。ひもで首を絞めたとは言ってない。
--1審で認めたのは
罪状認否の意味を聞いてなかった。弁護士は、検察の主張をのんで、少年事件だし無期懲役でいいと判断した。
--言い分と違うことが調書に書いてあることについて、弁護士は何と言った。
一度サインをしたら撤回は難しいと言った。
--1審で強姦目的を否認する供述をしているが、裁判で問題にならなかったのか。
なかった。
--弥生さんを何とか生き返らせたいと思ったと、1審で言えなかったのはなぜか。
バカにされると思った。死者の生き返りは、実母が亡くなってから、幽霊でも会いたいと願うようになった。
--押し入れに遺体を入れたことについて、差し戻し審で「ドラえもんが何とかしてくれる」と言ってるが、1審はなぜ言えなかったのか。
捜査段階で言ったが、「遺体に向けてふざけた内容だ」と言われた。
毎日新聞 2007年9月19日