広島高裁(楢崎康英裁判長)で19日にあった山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審集中審理で、元少年への被告人質問は次の通り。
【弁護側】
--教戒を受け始めたのは。
04年から。弥生さんや夕夏さんに償いたくても償えない実情があったので、声を届けたくて受け始めた。僕が23歳になる前に、23歳で亡くなられた弥生さんに申し訳ないとの思いが募った。
--最高裁の弁論前に、殺意がなかったと教戒師に言っている。
しょいきれないほどの責任の重みを感じて、罪の告白をしたくて、自分から願って始めた。
--父親からはどのような暴行を。
小学1年の入学式の日、父が母に暴力を振るっていたのを止めようとしたらけとばされ、タンスに頭をぶつけ意識を失った。海でおぼれさせられたり、包丁をのどに突きつけられたりした。
--両親のけんかは。
多いときは週に3~4回。けんかを見たときは、間に割って入った。母が殴られるのは心が痛かった。母が自殺してからも暴力は続き、父に殺されると思った。心休まる日がなかった。
--最高裁判決で「反省が不十分」などとされている事について。
不十分であることは否めません。反省を十分する必要があり、自ら学んでいくことが必要なんだという最高裁からの問いかけです。苦しみが足りないと思います。言葉では簡単に言えるが、行動に移すことは難しい。
【検察側】
--調書の内容をいずれ訂正してもらう約束と述べたが、後で訂正の請求はしたか。
当時、調書にどれだけの重要性があるか認識できていない。
【裁判官】
--結果的に殺したというが、起訴状には「殺害を決意し」とある。弁護士に相談しなかったのか。
意味が分からなかった。
--難しい言葉じゃないのでは
かみ砕いて言ってくれれば分かったと思う。
毎日新聞 2007年9月20日