導電性プラスチック
二重結合を持つエチレン(C2H4)を重合させるとポリエチレンができます が、重合の際に二重結合は消えてしまいます。一方、アセチレン(C2H2)の 炭素同士は三重結合でつながっています。これを重合したポリアセチレンでは、 三重結合が二重結合に変わります。ポリアセチレンは従来は粉末状しかなかっ たのですが、白川英樹氏が重合触媒を間違えて1000倍加えてしまったとこ ろ、フィルム状のプラスチックになったのです。
二重結合というのは、σ(シグマ)結合といって単結合に近い電子対と、π (パイ)結合といってσ結合と垂直な方向の電子対とからなります。このうち π結合電子は、ポリマーの中を自由に動き回ることができるのです。そのため、 ポリアセチレンはプラスチックとしては珍しく、高い導電性を示します。まさ に導電性プラスチックが得られたわけで、白川氏はこの業績により2000年 にノーベル化学賞を受賞しました。
一方、非常に導電性の高い物質であるカーボンナノチューブを含有させるこ とによりプラスチックの導電性を高める試みもあります。科学技術振興事業団 の創造科学技術推進事業「相田ナノ空間プロジェクト」研究グループは、単層 カーボンナノチューブをイオン性液体と混合させてゲル状複合体とすることに 成功していますが、イオン性液体の種類をうまく選んで約4%のカーボンナノ チューブと混合させ、さらに重合させることにより、力学的特性も導電性も極 めて高いプラスチックを得ました。
静岡大学の坂口浩司助教授らは2005年11月、導電性プラスチック材料 であるチオフェンを含む2種類の溶液からそれぞれ導電性プラスチックを作り、 その両者をつなぐことに成功しています。
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