気象・地震

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緊急地震速報:避難意識不可欠…起震車実験で静岡大が研究

 適切な避難行動を理解したうえ、地震の大きな揺れを事前に知らせる緊急地震速報が流れれば、家具の転倒による死亡の危険性を少なくできることが、静岡大の研究で分かった。地震の揺れを起こす起震車に学生を乗せ実験した結果で、小山真人教授(歴史地震学)は「避難行動を常に意識しておくことが大切。速報システムは補完的な役割」と話している。仙台市で開かれている日本地震学会で25日発表した。

 同大の学生54人に協力を依頼。実験前のアンケートで適切な避難知識があるのは40人、ないのは14人だった。これを緊急速報を揺れの9秒前に流す、流さない、緊急速報を説明する、しないの計8グループに分けた。地震で倒れる段ボール製の大型の棚、ヘルメット、机などのある室内を起震車の上に置き、学生1人ずつに入ってもらい、東海地震を想定した震度7の揺れを起こした。

 学生の行動を▽A=ヘルメットをかぶり机の下に避難▽B=机の下に入り頭を守った▽C=避難が遅れて棚に接触▽D=避難しようとしたが棚が頭に当たった▽E=避難せず棚に当たった--に分類し、DEは死亡すると仮定した。

 その結果、適切な避難知識がなく、速報も流さなかった7人は全員がDEだったのに対し、知識があり速報を流した22人ではDEは12人(55%)に低下。このうち速報を説明した13人に限ると、DEは5人(38%)に下がった。

 一方、速報を流し説明したにもかかわらず、避難知識がない2人はいずれもDE評価。知識があり速報がない18人のうち、DE評価は13人(72%)だった。

 小山教授は「実際の地震では9秒前に速報が流れるとは限らない。速報が間に合っても、周知され、適切な避難行動を常に意識しておくことが必要。定期的に防災教育を進めていく必要がある」と話した。【関東晋慈】

毎日新聞 2007年10月26日 3時00分

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