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妊婦搬送遅れ1千件超 病院探し難航などで 消防庁

2007年10月26日13時54分

 妊婦の救急搬送時、受け入れ先の病院探しが難航するなどし、救急車が現場を出発するまで30分以上かかり搬送が遅くなったケースが06年、全国で1000件を超えていることが総務省消防庁の調べでわかった。受け入れ拒否も年々増加する傾向で、妊婦の救急医療の危機が浮き彫りになった。

 奈良県の妊婦が8月末、11病院に受け入れを拒まれて死産した問題を受け、都道府県を通じて全国の消防本部に緊急実態調査した。

 救急車は現場に到着後、受け入れ先の病院が決まってから出発する。消防庁は出発まで30分以内を目標にしている。

 しかし、06年に産科や周産期の病院に救急搬送された計約3万9000人の搬送状況を調べたところ、出発まで30分以上かかったのが1012件。応急処置が長引いた場合もあるが、主には病院探しが難航したことが一因と消防庁はみている。首都圏や近畿が多く、うち奈良県のケースと同程度の90分以上は10都道府県で計21件あった。

 3回以上の受け入れ拒否は30都道府県で667件。うち10回以上は東京(30件)、千葉(6件)、大阪(4件)など7都道府県で計45件あった。

 どれくらいの割合で3回以上拒否されるかを調べたところ、04年0.9%、05年1.3%、06年1.9%と増加。拒否の理由は「人手や設備がなく処置困難」(26.6%)、「手術中」(17.2%)、「専門医が不在」(11.7%)などだった。

 厚生労働省の担当者は「妊婦は通常の救急医で対応しきれない場合が多く、特にかかりつけ医のいない場合は受け入れ先が見つかりにくい。実態をさらに調べたうえで、専門医の確保など改善策を検討していきたい」と話している。

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