皇居での親任式を終え26日、正式に首相に就任した福田康夫首相。初閣議に臨み、所信表明演説の文案を練り、与党や外務省幹部らと内外の課題への対応方針を打ち合わせるなど、慌ただしく首相としての初日を過ごした。「今日は本当に忙しい日で、無我夢中です。本日はね」と一日を振り返った。
この日午前8時前。首相は東京都世田谷区の自宅前にモーニング姿で現れた。記者団に朝の気分を聞かれると「爽快(そうかい)、爽快。昨日よく寝たからね」と、晴れがましい顔で車に乗り込み皇居へ向かった。
午前11時半から首相官邸で開かれた初閣議では(1)重要な政策課題には野党と誠実に協議する(2)政治資金をめぐる問題を指摘された閣僚は説明責任を徹底的に尽くす(3)海上自衛隊によるインド洋での補給活動継続に最大限の努力を払う−など、内閣の基本方針を示した。
また、各閣僚に、関係政治団体の政治資金収支報告書を再チェックし、高い透明性を確保するよう異例の指示を出した。
午後には、官邸で、所信表明演説に向けた準備を本格化。自民党の伊吹文明幹事長、森喜朗元首相らが官邸に足を運んだほか、北京での6カ国協議を前に外務省の谷内正太郎事務次官らとも協議し、外交課題への取り組みも本格化させた。夜にはブッシュ米大統領と電話で会談した。
共同通信の世論調査では、福田内閣の支持率は57・8%。記者団に高支持率の理由を聞かれると「どういうことか、さっぱり分からない。数字は素直に受け止めておく」。
夕方には、記者団に囲まれながら取材に応じるいわゆる「ぶら下がり」インタビューにも初めて臨んだ。質問を受けながら、居並ぶ約20人の首相番記者の顔を見渡すと、自身が「首相」と呼ばれ「誰のことかなんて、時々思っています。まだ慣れませんね」と笑顔をつくった。そして「お若い方(記者)にこうやってお会いできるのも、楽しいものですよね」と言うと、「今のところは」と付け加え笑いを誘った。
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