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見所はスポーツカーとエコ技術

東京モーターショー・プレスデー2日目

藤倉 善郎(2007-10-26 14:30)
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 10月24日からプレスデーがスタートした「第40回東京モーターショー2007」(日本自動車工業会主催)。24日のプレスデー1日目は、日本車メーカーのプレスカンファレンスをまわり(前回記事参照)、2日目の25日は出品車を見ながら会場全体を見てまわった。

 いよいよ27日(土)から一般公開となるモーターショーの見どころを、記者の主観を交えて紹介する。

今年もユニークなエコカーがめじろ押し

 トヨタは、「Harmonious Drive ヒトと、地球と走る、新しい明日へ。」をテーマに、大量のエコカーを発表。世界初・本邦初公開分だけでも、なんと7車種にものぼる。

ボディーがプヨプヨしているホンダの燃料電池車「PUYO」=25日、幕張メッセで(撮影:吉川忠行)
 その中の1つ「1/X」は、「プリウス」の3分の1の重量を実現し、プラグインハイブリッドによる低燃費を目指したコンセプトカー。クラウンのハイブリッド版「CROWN HYBRID CONCEPT」も世界初公開となっている。電気自動車「i-REAL」は、前回の東京モーターショーなどで注目された「パーソナルモビリティ」コンセプトの新モデルだ。周囲の歩行者などを関知してドライバーに音や振動で知らせる機能も。

 日産も、前回の東京モーターショーで発表した電気自動車「PIVO」を一段と進化させた「PIVO2」を出品。前モデルでは車体の両サイドにあったドアを、フロントハッチ式に変更。ドライバーの表情や会話の調子の変化を感知しながら会話を楽しませてくれる「ロボティック・エージェント」をロボットキャピン内に“同乗”させている。見た目の形だけではなく、機能までもがユニークだ。

 ホンダの燃料電池車「PUYO」は、水素ガスを燃料とする燃料電池車。車体がシリコン存在で覆われており、指で押すとその名のとおりまさにプヨプヨ。会場では、使用素材がステージ前に展示されており、実際に指で触ることができる。車内にはハンドルがないため、外観ばかりか車内もスッキリ。ステアリング操作は、運転席側のドアに取り付けられているジョイスティックで行う。

この日産車がすごい!

 完全に記者個人の好みだが、今年のモーターショーでもっともと笑えた車として称(たた)えたいのが、日産「NV200」。
カートリッジを引き出さなければスタジオが使えない日産「NV200」。いったい何を考えて作ったのか=25日(撮影:吉川忠行)
 ミニバンタイプの商用車コンセプトの「NV200」は、収納カートリッジを車体後方から引っ張り出すことができ、その際にできた車内スペースの壁には、パソコンとモニターが埋め込まれている。展示車はオーシャンフォトグラファー向け仕様とのことで、収納カートリッジにはダイビング機材などが積み込まれていた。

 つまり、海に潜って写真や映像を撮影した後、車の中でそれを加工・編集ができるスタジオを内蔵した車なのだ。

 いやしかし、オーシャンフォトグラファーなんて、カメラマンの中でもそう多くないだろう。家に帰り着く前に車内で加工・編集をしなければならないオーシャンフォトグラファーがいるのだろうか。しかも、カートリッジを引き出さなければ「スタジオ」は使えず、カートリッジを引き出したままの状態では走行できない作り。帰り道に誰かに車を運転させて自分は「スタジオ」で編集作業、というわけにもいかない。

 とても売れるとは思えない。

 そんなツッコミどころ満載の車を、コンセプトカーとは言え、ここまで完成させてしまったところが何ともスゴイ。たまらず本紙の吉川記者が、日産のブースで担当者に「いったい、何を考えてこれを作ったんですか?」と、直球をぶつけた。すると担当者は涼しい顔で、こんな答え。

「いやぁ、きっとそういう風に思う人がいるだろうな、と。オーシャンフォトグラファーなんて、世界中でもそんなにたくさんいないですよね。だからメディアの人も面白がるんじゃないかと思って作ったんですよ」

 確信犯か……。

 仰々しい「GT-R」発表の陰で、こんな微妙な笑いの取り方ができてしまう日産が好きだ。

国産スポーツカーは「GT-R」だけじゃない!

 今年のモーターショーでは、国産スポーツカーの象徴とも言える「GT-R」が、5年ぶりの復活で注目されている。しかし会場を見渡すと、ほかにもスポーツカーの出品が目につく。フェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニといった海外の有名メーカーはともかくとして、日産のほか、トヨタ、ホンダ、マツダ、富士重といった国内メーカーが、いずれもワールドプレミアとしてスポーツカーを発表している。

スバルは24日から発売を開始した「インプレッサ WRX STI」をベースにしたWRカーのデザインモデルも出展=25日(撮影:吉川忠行)
 もともと国産スポーツカーは、2000年(平成12年)の排ガス規制以降、完全にすたれたと言っていい。ユーザーのトレンドが実用面での快適さを追求する方向にシフトし、スポーツカー人気が後退したことも要因だと言われている。

「確かに2ドアで車高が低い典型的なスポーツカーはなくなってきていますが、当社では走りの性能面ではいまもスポーツ性は重視しています。それが、今回発表した『新型インプレッサ WRX STI』です」(富士重ブース担当者)

 「STI」はプレスデー1日目の24日に発売を開始した。コンセプトカーを含めると、ユニークな流線型が目を引くマツダ「大気」やLEXUS「LF-A」といったスポーツカーも展示されている。

エコ技術は国産スポーツカーを救えるか?

 コンセプトカーでは、ほかにホンダ「CZ-R」、トヨタ「FT-HS」、LEXUS「LF-Xh」があるが、いずれもハイブリッド車。

トヨタのコンセプトカー「FT-HS」はハイブリッドシステムを採用したスポーツカー=25日(撮影:吉川忠行)
「スポーツカーが減った大きな原因は2000(平成12)年と2005(平成17)年の排ガス規制。しかしスポーツカーが滅びてしまうわけではなく、ハイブリッドという新しい形で今後も続けていくつもりです」(ホンダブース担当者)

 当然のことながら、ガソリン車のスポーツカーも排ガス規制はクリアしており、「NISSAN GT-R」は「平成17年基準」の50%低減レベル(U-LEV)に適合している。

 その「GT-R」の販売価格は777万円からと、かなり高額。ハイブリッド車ともなれば、発売時には相当高額になると思われるが、はたしてエコ技術によるスポーツカーの復権はあるのだろうか。

   ◇

第40回東京モーターショー2007
会期:2007年10月27日(土)~11月11日(日)
会場:幕張メッセ
開場時間:平日午前10時~午後6時、土休日午前9時半~午後7時
入場料:一般1300円、中学・高校生600円、小学生以下無料
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